信仰よりモフモフ。奇跡より笑い。そんな時代を生き抜く聖女の話

 この物語、読めば読むほどクセになりますね。マグノリアの図太さと、どこか憎めない愛嬌。借金まみれのダメ聖女が拾ったのは、くっっさモフモフなショタ魔王!――設定だけでもう、現実のしがらみを忘れて吹き出してしまいます。

 なのに、その奇妙な組み合わせが、絶望を笑い飛ばして生き抜く「人間の奇跡」そのものとして胸に残るんです。聖女なのに奇跡が使えず、でも“生きる力”だけは世界一。マオの純粋さと魔王の影が、マグノリアの不屈さと混じり合い、どこか救われる気持ちにさせてくれる。個性強すぎな聖女たちとのモフモフ争奪戦もカオスなのに、会話の端々に人間らしい弱さや滑稽さがにじんでいて、どこか温かい。

 神の奇跡が薄れた時代でも、笑って抱きしめ合うことだけは誰にも奪えない――そんな優しさを感じさせてくれる作品です。

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