第一章4 晴れときどき任務

 夕方の五時をすぎた時。大型トラックの運転手と助手席に乗ってる新人の二人は山の狭めな峠を近道として、通っていた。運転手と新人の二人は小腹も空いていたため、休憩の時間にハンバーガー店で買っていた。チーズバーガーの袋を新人が開いて。運転手に渡し、新人も次に袋を開く。


「やっぱ、冷めてるけど。チーズバーガーは美味い」


「ですね〜」


 運転手は片手で運転しながらという行儀の悪い状態でハンバーガーを片手で食す。

 運転手は、この噂を話す。この峠には、事故って亡くなったハチロク乗りの若者たちが未だに走り続けていいる。という、心霊的な噂を新人にからかいながら話す。


「いやぁ、まさか。いるわけないですよ」


「そうかい?もしかしたら、会えたりしてな」


「いやいや無いですよ!」


 大型トラックの右側の下りに、時速七〇キロ近くで走行する。ハチロクが通っていく。大型トラックが道路大部分の場所を取ってるのに関わらず。

 ハチロクは、ビュンビュンと飛ばしていく。


「なんだ!!あの、ハチロク!!」


「まさか…例の心霊!!?ひぇー!!」


 トラックの運転手と新人は、ハチロクの運転の荒さに竦み。運転手はトラックを止める。


 荒々しい、ハチロクを運転のしてるのが、皆さんご存知のどおり。本作の主人公 鶴谷 修也が乗っていたのだ。


 んで、乗っていた。片倉、稲荷、犬神はと言うと。


「こやーーーーーん!!!!」


「やべ、吐く…ウプ…」


「もう、二度と…二度とあんたの車に乗らねぇ!!」


「いいいいやっふぅぅぅぅ!!!。ここからが、近道なんだ!まだまだいくぜ!」


 片倉啓介は、助手席のグリップに掴んでいるが。鶴谷の荒さの影響で、車酔いが激しくなり。気分が悪くなり、吐き気を催す。

 稲荷は、ただただ自動車がここまで早く走行するのに慣れなくて悲鳴を上げてしまう。

 犬神健人は、後悔をしてしまう。こんなのが、自分のリーダーだと言うことに絶望し、二度とこの人の車には乗らないと誓う。


 しかし、犬神健人は知らない。どの道、犬神健人は鶴谷修也の車を乗りながら任務をこなすことになっていくことに。しかし、それを伝える事は彼にとっての絶望なので、それは内緒の話。




 △▼△▼△▼△




 峠をぬけた鶴谷一行は、途中のサービスエリアで休憩を五分くらい挟み。鶴谷修也は、自販機に向かい。自分と三人分の缶ジュースを買う。鶴谷は、缶コーヒー。片倉啓介も缶コーヒーで犬神健人はコーラーを稲荷はお茶をと買ってきて渡す。犬神健人は、多少不満な様子でもあった。


「どした?荒い運転で酔ったか?」


「いや、違ぇ…。ただ、なんでわざわざ休憩する?」


「敵につけられてたらどうする?」


「は?」


「真っ直ぐ行くのもいいが。時には遠回りして目的地に行かないと」


「んで、いたのか。怪しい車は?」


「運良く、いなかった」


「なんだよ!!」


 鶴谷修也は、過去に基地へ向かう途中で敵に付けられた経験があったため。多少の遠回りで敵を無闇に事故られせ用途考えていた。峠の通りで走り屋まがいな、違法速度で走っていたのもそれが理由である。


「いやぁ、楽しかったぁ。あんまり、やっちゃいけないからなぁ〜」


「普通に怖かったのじゃ」


 それは、買いかぶりで単純にスピードを出して走るのが好きだったのが一番の理由である。


 はっきり言って、愛車を持つ人達はこれを真似しないで欲しい限りである。


 時間的にも、夕飯だったため。サービスエリアのフードコートで夕飯をとろうと考えた。勿論、連れてきた鶴谷の奢りという形で夕飯をとる。急いで車を発進させても夜の九時になるため、スマホでホテルに予約を入れて予約をしたホテルでチェックインを済ませ、一泊をする。


 鶴谷は、朝の六時くらいに起きて、三人を起こし。早々にチャックアウトを済ませ、三人を早く車に乗せ。急いでハチロクを発進させて基地へと向かい。


 つけられる心配もなく、LASの基地に着き。ガレージにハチロクを入れる着いた時間は午前八時くらいになっていた。助手席の片倉は、ウトウト気味だったが。起きてはいる。


 後部座席に乗っていた。犬神と稲荷は爆睡してた。光景が、稲荷が犬神の肩に寄っかかって。警戒していた犬神は寄りかかった稲荷の頭に寄りかかって寝ていた


 その光景を見た鶴谷修也は、思わず。ほっこりしてしまい。優しくにっと微笑みつつ、「はいはい、着いたから起きなさい」と優しく二人を起こす。寝よだれ垂らしてた、稲荷が先に起きて。頭をあげると犬神健人とぶつかり。犬神健人はぶつかった痛みで起きる


「いちち、すまん。稲荷大丈夫か?」


「んぉ…やっぱり健人はいし頭じゃのう〜大丈夫だよ」


「そうか、良かった。」


 ハチロクの運転席と助手席のシートを前にたおし。二人を車から下ろす。そして、トランクの荷物を取り出す。ガレージで、パワードスーツを調整してた。赤羽隼人がで向かう。


「おっす!団長帰ってたか。にしては、口説くのにおせかったんじゃねぇか?」


「やかましい。多少遠回りしてたんだよ。」


「ふーん、その後ろの三人が採用する奴ら?え、三人!?」


「すげぇだろ」


 赤羽隼人、口説くのに遅くないか?とからかっといて出てきたのは三人という。急な、数で驚いた。何せ、遥かでも一人しかよべれなかったというのに。


 車から降りた三人は、ツナギを着崩してる。赤色のサングラスをかけてる男性に自己紹介をする。


「初めまして、神社の神主をやってました。片倉 啓介です」


「初めまして、どうも、お世話になります。稲荷神社を運営してました。稲荷と申します。今後ともよろしくお願いします」


「初めまして、犬神 健人です…よろしく」


「あぁ、どんも。ここのメカニックやってる。赤羽 隼人あかばね はやとだ。以後、お見知り置きを。まぁ、この団長に振り回されるかもしれねぇが。よろしくな。」


 赤羽は、自己紹介を兼ねて多少フランクなイメージで新人三人を出迎える。赤羽は、ちょうど紹介するといい。遥が採用した子を、ガレージへ案内するために。ラウンジに向かい、連れてくる。


「遥 副団長、新人の子紹介してもいいか?」


「え、構わないけども?あいつ、帰ってきたの?」


「あぁ、帰ってきたよ。遠回りしてきたってさ。だから、その新人の子借りるぜ」




 △▼△▼△▼△




 四人は、ガレージ内で大人しく待っていた。犬神は、鶴谷修也以外の車とかを物珍しくみたり。見回ってた、まるで子供がおもちゃ屋の商品を目を輝かせながら見るよに。稲荷は、その光景に微笑む。


 稲荷が優しく微笑んでるのを見て、犬神は「なんだよ?」と照れるが、稲荷は優しく「なんでもないよ」と笑顔で返す。という微笑ましい光景の後で、赤羽隼人が誰かを連れていく。


「よっ、またせたまたせた。」


「その人は?」


「そうだった。自己紹介しな」


「ハッ!、元SATを勤務していました。双葉 陽子ふたば ようこと申します。これから、よろしくお願いいたします」


 綺麗な敬礼で挨拶する女性。双葉陽子と名乗る


 キリッとした鋭い目付きで、頬の右から左へ鼻筋を通す切り傷の跡。髪型も、前髪は眉にかからなく。耳はおくれ毛とかを伸ばしていて長くしてある。後ろの髪型も伸ばしてなく。ショートヘア

 背丈も一七〇くらいある平均の女性より高い。


「こんな、綺麗な敬礼されるとは思わんかった」


「はあ、一応この部隊の団長と仰ってましたので敬礼をと」


「ここは軍や警察組織じゃないんだ、多少ラフで構わないよ」


「なら、次からそうさせていただきます。鶴谷団長」


 鶴谷は答礼を返さないっていう。軍や警察からしたら失礼ではあるが。なぜなら【LAS】は軍でもなければ警察組織でもない。


 いわゆる傭兵紛いな組織なためそこまで、敬礼を遵守してる訳では無いため。双葉陽子は敬礼してる手を降ろし。肩の荷を降りたと思い、少し楽になる。


 双葉陽子は、見慣れない三人に視線を向け。「この方らは?」と気になる。鶴谷は、この三人は新しくはいる新人達と説明する。


 双葉陽子は、うまく納得出来ないところがあった。二人は、自分と違い、経歴に軍や警察については居なかったことだった。片倉啓介は徴兵で軍職の経験はあったので納得はできるが、二人だけは本当にただの一般人だった。


「なぜ、一般人を入れたのですか?彼らは、お世辞にも戦い慣れてるようなイメージはありません。仮に、戦う要員じゃないとしても。医者やパイロットやサイバーとかを要するハッカーとかなら分かります。」


「わし、戦闘はできなくは無いよ?」


「俺も右に同じく」


「だとしても…銃なんて」


 とてもと言おうとしたが。犬神健人は「俺、元猟師」と言い返され。ぐぬぬと思ったけど、双葉陽子「だけど!」と返そうとした時に、「はいはい」と手拍子で会話を終わらせようとガレージに入ってきた月宮 遥が割って入ってきた。


「別に一般人でも構わないでしょ。事実、ウチは人手不足で猫の手も借りたいくらいなんだし。」


「ですが。」


「訓練して、私たちがカバーをして場数と経験さえ組ませればいいのだから。」


「…分かりました…遥先輩」


 双葉陽子は、眉間に皺を寄せながらも渋々了承する。何せ、元は警察だからってのもあり、一般人を巻き込むのに抵抗があっただ。ただで、さえ人手不足なのは承知の上なのかもしれない。仕方なく双葉陽子は話を飲み込む。


 話を戻し。月宮 遥は「任務が来た」とスマホを鶴谷修也に見せる。


 任務の内容は、『お久しぶり〜唐突で申し訳ないけれど採用したい子がいる。けれど、今その子と敵に追われてるから。申し訳ないけれど今から救援がほしい。』とラフな感じで書かれていた内容だった、それで送り主も調べたら。


 仲間"カナタ・ハリス"からだった。

 カナタ・ハリスとは、LAS唯一の諜報員である。元は、カナダの諜報員として務めていたが、ある事情で任務を失敗してしまい。国を、追われる事になった過去がある。


「カナタさん。最近、見かけないなと思ったら。手伝ってくれてたのか…」


「どうすんだ?新人の四人だすんか?」


「いや、ナンセンスだ。今は、環境に慣れさせたいから。俺と遥と碧くんを呼ぶよ」


「そうかい。イリーナさんは呼ばなくてもいいか?」


「あれ、イリーナさん何処におるん?」


「おるよ?いま、愛機のSU三五に乗ってるよ。呼ぶ?」


「いや、やめとく。」


 イリーナは、元ロシア空軍だった。現役時代の愛機スホーイSU-三五とかを乗り回して、敵を倒していたらしい。LASに入ってからか、乗れることがなかった為。コクピットに乗って昔を思い出しながら、機体に触れていた。


 鶴谷は、戦闘準備を迎えるために。武器庫を寄りに行く前に四人をラウンジで待たせる訳には行かなかったため。四人用の部屋の鍵を取りに向かおうとすると。

「あぁ、双葉さんのは渡してあるから大丈夫よ」


「んじゃあ、三人用か。空き部屋くらいあるだろ?」


「そうね、先に準備しておくわね。」


 海辺が見えるような場所に基地が立てられているからか。入口に入ると直ぐにガラス張りで、青い海が見えるという基地にしては好立地な作りだった。

 入口の床も大理石という、上品さも感じるような床ばりで。しかも、海辺を観察することもできるように、椅子型のソファが何個も並んでいた。間接照明もあり、夜になると海の背景と証明も混ざり、ロマンチックなムードになる。


 はっきり言って、経費の無駄だろ?ってなるが。戦いでいつ死ぬか分からない現場を経験する兵士は心を荒みやすくデリケートな為、綺麗な海を見て心を落ち着かせて心を癒すのも福利厚生の一つとして、豪華さも感じるラウンジであった。


「ホテルかよ…」


「基地って聞いておったから。違う意味で面食らってもうたぞ」


 片倉啓介と稲荷は、ほえーと基地とはいい意味で言い難くらいに豪華作りだったため。二人は目を丸くしてラウンジ内を見回していた。


 LASの基地が豪華なのは、アルマスが影響してるからだ。アルマスは、ソナリアンから身を隠すのに丁度良かったのとそのままホテル経営で金を稼いで居たから。LASもその名残りとして、ホテル風な基地に仕上がっている。


 ただ、犬神健人は複雑だった。

 自分は、嗅覚に優れているからか、他の誰よりも匂いには敏感だった。LASのメンバー全員、むせ返るほどの血の匂いがした。こんな人殺しの奴らが、ホテルみたいな豪華な場所でくつろいでるって考えるとイラッときた。これを、堪能するために人殺しをしてるのか?って疑問にもなった。


 犬神健人が渋い顔をしている。間に、鶴谷が任務用の服装に着替えて。三人の前に来た、部屋の鍵を渡すために現れるが。さっきのスーツ姿とは違ってラフな格好だった。黒のロングTシャツに泥茶色のカーゴパンツと、本当に出かける様の服装に変わってた。


「ほらよ、三人共。部屋の鍵だ、無くすなよ」


「おぉ、ありがとうございます。でも、誰が案内してくれるんすか?」


「まぁ、赤羽とかに聞いてこい。忙しくても、団長が言ってた。って言えばいいし」


「了解す」


 三人は、鍵を貰い。部屋の案内を頼みに赤羽のいる。ガレージまで向かうが。犬神健人は、鶴谷修也に聞きたいことがあり。残っていた


 鶴谷修也は、キョトン顔で「行かないのか?」って聞くと犬神健人は聞きたいことがあった。それは、戦う理由だ…


「どうして?あなた方らは戦うんだ?俺は、稲荷や啓介を守るために戦うと決めた。鶴谷さん…おれは、あんたらが分からない。むせ返すような血の匂い…けど、その中には優しい匂いもあった。あんたにも薄くある。なぜ?」


 犬神健人が志願したのは、自分が能力者だと言うことでソナリアンズに狙われ片倉啓介や稲荷も巻き込まれると思い。片倉啓介と稲荷を守るために戦うことにした。


 鶴谷修也は、犬神健人の戦う理由を聞かれ。昔のことを思い出した。自分が、過去に自衛隊に志願したことを。理由は単純明快でただ強くなりたいって事だった。それから、最悪な戦争を経験し。ある事を知ったそれは…


「忘れないためさ。失ってきた人達と自ら奪ってきた人達を忘れない為に戦うんだ。そして、その人たちの犠牲を忘れない為に戦いを終わらせて平和へと向かうしかないと俺は思う…いや、そう信じたい。」


 忘れるわけがない、忘れちゃいけない。あの、戦いで奪ってきた人や奪われてきた人がいた。その中には、きっと他の誰よりも尊い人がその戦いの現場にいた。戦えば、誰かが救われるとそう信じた人達の犠牲を糧に平和を勝ち取らなければ行けない。


 それが、鶴谷 修也の戦う理由でもあり願いだった。



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