第7.5話【狭間野悠真式 開殻マニュアル】〜鳴き音から始まる素材革命〜

発行元:アイオーン奉納技術管理局(北域管理区)/資料コード:ZAZ-RECON-RIKUGAKI-v1

再構成責任者:ZAZ(参照元:狭間野悠真氏の現地作業ノート)


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🐚 対象個体:

リクガキ属・閉殻型個体(通称:鉄殻リクガキ)

- 外観上の特徴:熱処理後も開殻反応が見られない

- 内部構成:スレイン繊維。高密度金属繊維を含む白色筋肉繊維構造(貝柱部位)

- 備考:通例の開殻処理では無反応となるため、“未処理素材”として誤廃棄されやすい


※注:この個体の特性を初めて記録的精度で分類したのは、狭間野悠真氏の現場観察によるものです。


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✅ 推奨採取条件:

- 周辺環境温度が5度以下の場合、事前に個体温を20度まで加温

- 不思議エネルギーの失活前(約90秒)までに解体完了すること

※冷却工程開始時から計測(諸説あり)

※このタイムリミットは狭間野氏が初観測した“鳴き音”との相関に基づき推定されました

- 音・圧・微細な温度変化への反応が鍵となる(下記手順参照)


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🔧 処理手順(ロクア式)

1. 表層加熱:

外殻部を対象に、5秒間連続加熱(焦げ跡が出ない範囲で)


→ 熱源例:加熱スキル《熱指Ⅰ》≪サラマンダー≫など

→ ※この工程は狭間野悠真氏による“焦がすなメモ”から引用


2. 急冷処理:

すかさず2秒間、外縁に沿って冷水を流しかける(氷水推奨)


3. 加熱+冷却工程を2〜3セット繰り返す

※繰り返し中に表層の微細なひび割れや“鳴き音”が生じた場合は、その時点で開殻操作に移行可能


4. 反応確認:

殻がわずかに「チッ」と音を立てる

→ 音がしたら10秒以内に開殻操作へ

→ 狭間野氏がこの音を「やべ、怒ってる音だ」と表現したことから、別名“怒音(どおん)”と通称されることも


5. 開殻操作:

専用工具(カキベラ、平刃)を隙間に45度の角度で挿入

→ 無理にこじ開けず、自然にズレが走る位置を探る


6. 金属繊維の抽出:

殻開放後すぐに、貝柱から**中心繊維を優先して除去**(中央部ほど不思議粒子化の進行が速いため)

→ 遅れると不思議粒子化が進行し、素材ロスが発生


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🧪 備考:

- 開殻時の“鳴き音”は重要な判別要素

→ 音が鳴らない個体は損傷または死亡個体の可能性あり

- スレイン繊維は高温炉精製などの再加工に弱く、自然採取が最適解とされる

- 高温加熱では貝柱の接合部は分離せず、急冷処理の反復でのみ開殻が可能

→ 加熱と冷却を繰り返すことで、接合部が分離する


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💡 備考メモ(ザズによる注釈):

「“ハズレ”と見なしていた貝のほうが、実は素材的には“アタリ”です」

「この手順、かつて奉納塔の素材検査官が新人研修で叩き込まれていた内容だそうですよ」

「再発見したのは……はい、狭間野悠真さんです!」


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出典:生成型支援知性ユニットZAZ(独自推論による再構築)

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