34 誰をかも 知る人にせむ 高砂の 松も昔の 友ならなくに

誰をかも 知る人にせむ 高砂(たかさご)の 松も昔の 友ならなくに

藤原興風(ふじわらのおきかぜ) (平安時代の官吏・歌人)


若者訳

みんな転勤とか引っ越しとかでいなくなっちゃってさ。

誰を連絡帳の“親友リスト”に入れときゃいいん?

あのド定番の「高砂の松さん」まで、スルーしてくるし。

昔の知り合いでもない顔しているし。

孤独寂しいです……。



現代語訳

これから誰を親しい知り合いとすればいいのだろうか。あの名高い高砂の松でさえ、昔からの友人というわけではないのだから。


興風は、かつては宮廷に仕えていたものの、晩年には世の中から遠ざかり、孤独な日々を過ごしたと伝わる。

この歌は、その老境の寂しさや、移ろいゆく人の縁の儚さを詠んだもの。

「高砂の松」は、兵庫県の高砂の名松を指し、長寿・不変の象徴。

しかし、その松でさえ“昔の友”ではないと詠うことで、

「変わらぬものなどない」「友も時とともに去る」という人生の無常観を表している。

つまり、長い歳月の中で人間関係が失われていく孤独感と、自然の永続に対する羨望と諦観を静かに映し出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る