パスワード・password
「あー、頭痛い」
先日なれたハズの固いベッドが、
いつもと違う固いベッドの質感に不快感を覚える。
ベッドと言うよりただの板だ。
「何かデジャブ」
首と肩、全身がむち打ちのような痛み覚える
「絶対ナチスだろアレ」
MG42を片手に乱射するフィジカルミュータントギャル
深山に、護衛らしき連中が取り出したMP40 と
アサルトライフルの始祖StG44。
これでナチスじゃないのら、なにがある。
「あら!、起きたのね!」
「うわ出た」
独房のような鉄格子の扉越しにある意味でわ
懐かしい顔がいた。
「バァ、いやジジイかぁ
しかも虎柄って大阪仕様かよ」
目の前には、ギラギラとした目つきのババァ
だと思ったが実は元ジジイ、
俺にあのふざけたバイトを持って来た、大家さんだ。
美桜が前に写真を見せて来た時【彼】と言っていたことから
こいつも元男なのだろう。
「あら!、バレちゃったのね!…
なら演じる必要はないな」
「そっちが素」
先ほどまでのうるさいおばさんと言った雰囲気は
一瞬で消え失せ。
俺を品定めをするような目に変わり、
こいつがただものでは無いと印象づける。
「いつから、俺に目を付けてたの?」
「薄々感づいていたようだな…答えやってもいいが
こちらが先に質問をさせていただこう。
君はいったい何に気づいたんだい?」
いつも間にか牢屋の扉を開け中へと入って来た
大家さんは椅子に座り質問をしてくる。
「少なくとも、美大落ちのカルト狂いの仲間達が
考えそうなので言えば、魂的な奴が目的?」
「ほ~うあながち、間違いでわ無いな。
ご褒美に飴ちゃんかわりに、メフォ手形は如何かな」
「いらない、あんなのジンバブエドル以下だろ」
「案外プレミアつくかもよ」
「いらない、あと話ずらすな」
この扱いを考えれば、
間違いなく俺は、板の上の鯉、半ば諦めだ
とりあえず聞けるだけのことを聞いておこう。
「あぁそうだね、じゃあ腹を割って話そうじゃないか」
「腹を割る?、ナチスが?、
チェンバレンに土下座でもしてから…は?」
「いやー、星ちゃんの反応はいつ見ても面白いね」
「は⁉、深山なんで、なんで?深山!?」
ババぁの中からギャルが出て来た。
大家の顔がベリベリと、音を立て剥がれ
下から深山の顔が出て来たのだ。
大家の正体が深山だと知った瞬間、
ふと、なぜか納得をした、よくよく考えれば
深山が俺を知っていた理由も深山が大家だったと
俺の体が触媒として使え、触媒の監視
考えれば辻褄が合う。
「最初から監視してたのか」
「おー、勘が鋭いことで」
俺の住む賃貸はこの時代では珍しく、
ネットが完備されていた。
時代は、いや今俺が住んでいるこの世界は
西暦2007年
ネットなんてものはまだまだ少ない時代
ネット回線のある物件なんて希少だ
そして俺はそのネット回線を利用していた。
根本の回線を握っている大家であれば、
ネット回線の監視は容易なことだ、
パソコン一台あれば監視することはできる。
俺のち●●がなくなってからの1月の間の
俺の行動パターンは手に取るようにわかるだろう。
「で、俺の意識が入ったこの体が目当て、
わけでわ無いんでしょ」
「いやそれも目当ての一つだけど、
うーんチョー気になる、星ちゃんの推理が」
「言い方はあれだが、アンタらの目的は
簡単に言えば、タダ乗りだ。」
俺の推測をただ黙って恐ろしい程に静かに
こちらをじっと見つめ、話に耳を傾ける。
「俺が美桜から聞いた、アンタらの計画必要な触媒である
俺の体が必要だったのは知っている。」
「だけど今、俺の体、それか俺の意識に興味深々なのは」
「何らかの前提が変わったんだ例えば、使い込んだ靴の癖が、
過去の人間を完璧に復元するカギだったけど実は違ったとかな」
「本当はもっと時間を掛けなきゃ
ダメなものだと思われてた、癖が1月にも満たない時間で、
この体に癖ついていたとか?」
「そこで、俺の考えた、たとえ話はこうだ。」
「この
「俺はどんな
「そこであんたらの計画はこうだ、俺がパスワードなら
アンタらはそのログインしたままの状態。」
「ある意味であれば、誰の操作も受け付ける状態になった体を量産する」
「誰だって新しい
資金にも、逃げる手段にも、コネづくりもなんでござれだ。」
「で、これから、あんたらがしようとするのは」
「予備の便利なマスターキーの生産、それか
この世界に転生させるってところかな?」
深山エンリカは何も発さず。
ただ静かに俺の話に耳を傾け
そしておれの推理を聞き終えた。
両手を前に出しにゆっくりと静かに
控えめな拍手が独房内に響く。
綺麗でどこか活発的な雰囲気のはずの
ギャルであるはずの彼女の気配、どこにも無く
ただひたすら、不気味気配だけがこの空間を支配する。
「だいたい正解かな」
その目はどこか人ならざる化け物のようにみえた。
「それで、君は私たちの計画を推理し
見事的中させたわけだが、それをしてどうするかね
「別になにもしないよ、ただ肝心な人物である
俺だけがカヤの外、てのが癪に障ったから
答え合わせがしたかった。それだけ。」
「好奇心は猫を殺すよ」
「板の上の鯉に人権は無いでしょ
それにここまで来てる時点で今更でしょ。」
どこか試すような口ぶりの深山に
投げやりな気味な返答をする
すでにこの謎施設に女体化、どっかの工作員のカミングアウト
美大落ちの愉快な仲間達
たぶんアウトラインの点数にすでに達している。
俺の結末は変わらないだろう。
このさいだから、最高得点でも狙ってみることにした
「次、俺が質問していい?」
「いいよ」
先ほどの得体の知れない気配は無くなり
昨日見た深山さんの気配に戻る
「あんたら、俺の体を使って一体誰を復元するんだ?」
俺の質問さも、待てましたと言うような雰囲気を醸し出す
「それはもちろん、あの方しかおりませんよ──」
言葉はゆっくり、しかし確実に落ちていった。
独房内に聞こえる声が、まるで地下の石壁に吸い込まれて反響する。
星凪の鼓動は一拍、二拍、と異様に大きくなった。
耳鳴りのように、周囲の雑音が遠のいていく。
深山が片手をゆっくりと伸ばすと、
深山が壁の陰から一枚の古い写真を取り出した。
紙は黄ばんで、端は波打っている。写真の中央には、
一人の男が写っていた。
七三分にけられた髪型にちょび髭
フリー素材・美大落ち・ユダヤ人虐待おじさん
そんな二つ名ゲラゲラと笑っていた、
時期がどこか遠い世界の出来事に思えた。
「アドルフ・ヒトラー、総統閣下ですよ」
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