元男が女に惚れたらそれはレズなのか
いつの間にか眠っていたらしく。
昨日の手紙一件のせいか、衣服は大量の汗を含み素肌に張り付き、
つけっぱなしの蛍光灯やパソコンが光を放ち、目蓋の裏を照らす。
気だるげに目を開ける。目の前に黒いセーラー服の女が立っていた。
腰まで垂れる黒髪、光を吸うような瞳。数週間前に見た、ヤバいやつ。
「あ、起きぶへ⁉」
護身用に側に置いてた、空の一升瓶で脊髄反射で振りかぶり
謎の女の左頬にめり込む。
「俺のち〇〇返せぇぇぇぇ!」
「ひぃぃ!」
星凪は一升瓶を右へ左へとブンブン振り回して。
6畳一間の中で彼女を追いかけまわす。
「は、話を聞いて」
「うっせ、俺のち...体返せ!」
互いゼーハゼーハと息をしてお互いに見合う。
「てかお前、どうやって入って来た」
「窓、空いてる」
彼女はカーテンの揺れる窓を指を指す。
「空いてても入ってくんな、不法侵入かよ」
「とにかく、落ち着いて私の話を聞いて」
「うるせぇ、人の体…入れ替え?、改造?した奴の話が聞けるか。」
「その体が戻るといったら?」
「だから!、犯罪者の…なんだって?」
彼女の言葉に驚愕して、動きが止まる。
てかコイツ俺の体のことを知っているってことは
やっぱコイツが犯人じゃねぇか!
「なあだから、まずはその物騒なものは一旦おいてくれ」
彼女は手を前に出し、武器を降ろすよう促す。
「話は務所の面会で聞いてやる、とりあえず大人しくしろ」
「それじゃ時間が無い!」
「テメェ、今パワーバランスわかんねぇのか?
こっちは武器持ってんだぞ、言うこと聞け」
「なぁ、ほんとに頼む、時間が無いんだ!」
「テメェはだろ?、こっちはおかげ様で、
お肌も潤いも時間もたっぷりあんだよ!」
なんとか時間を稼いで、誰かが騒ぎを聞いて、
警察を呼んでくれることに期待をするが
最悪自分で何とかしなければ、いけないことに汗が頬を伝う。
「…はぁ~、最後の警告だ話を聞け」
彼女は手袋をつけ始め、ポケットから何かを取り出す。
「なに?、今度はおもちゃでどうするつもり?」
彼女が右ポケットから取り出した物は、いくつもの金属パーツと
少しの木材で構成され、腐食を抑えるクロムメッキが怪しく輝く銃口を向ける
「M1911。古きアメリカの傑作だ。今見せてるのはコルトガバメント、
45ACP弾を七発込めてある」
引き金には指を掛けず、こちらに向ける。
「中でも、この1911はシングルアクション。撃つにはまずこのハンマーを」
そう言って、彼女は左手を添えてカチリと音を立ててハンマーを起こした。
「起こす必要がある。逆に言えば、後は引金をいて。
あんたをわからせる。」
伸ばしていた人差し指を引き金に掛ける。
「ふーん、撃って....」
パン!
銃口から放たれた火花。轟音は閑静な住宅地を揺るがす。
硝煙の匂いと鼓膜を突き破るような音が、脳を揺らした。。
「みた.ら...へ?」
発射音に驚き固まった星凪は後ろを振り向くと拳大の穴が壁に空く
恐る恐る穴を覗くと、知らないおじさんと目が合った。
「「ぎゃぁぁぁ!」」
「星凪!」
「ぎゃぁぁぁ!」
いつの間にか自身の手には、拳銃が両手で握らされており
そのうえから謎の女が手が添えられる。
絵面でいえば、茶髪の少女が祈るように握り締める手の上から、
どこか狂気的な目をした、謎の美少女の手が包むように添えられる。
二人の少女が互いの手を握り合う手はどこか可憐な風景を連想させる
しかい女子高生の制服を身に着ける謎の女とは打って変わり、
星凪の姿はタンクトップにステテコとラフな格好に
青ざめた顔をする星凪の手の中で、
838ジュールの運動エネルギーが爆ぜ、天上に6つの穴を空ける。
光景は恋愛よりも、事件性を醸し出す。
「大変だー、星凪君。こんな平和な日本で銃乱射なんて
君はとてもクレイジーだ」
「はぁ⁉、それはアンタが引き金....⁉」
彼女の手袋をはめた手をこれでもかと見せつける。
「証拠はあるの?」
彼女はいつの間にか、銃をジップロックに入れてカメラに向けてピース。
「はい、こちら指紋無し! 映像無し! 物証ゼロ! 銃は君が握ってた!」
「ふざけんな! 冤罪やんけ!」
「だ~ま~れ~、銃乱射犯。あと三分で警察が来る。君の未来、終わる。」
「…なにが、目的?…」
「だから、話を聞いてってさっきから言ってるでしょ」
そう言うと彼女は窓から身を乗り出し、2階から飛び降りる
窓の下を覗けば彼女が手を振っている。
「マジでやんの⁉」
しかし遠くからパトカーのサイレンが近づいいており
時間が無いことを伝える。
「男は度胸!女は愛嬌、俺は全部だー!」
覚悟を決め飛び降りると、想像していた痛みは無くゆっくりと
目を開けると彼女によって受け止められていた。
「ほら、走るよ!来なかったら、サツに突き出すかんなー!」
「ちょちょっとまってよー!」
全力で走り出す彼女の背を泣きながら星凪は追いかける。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます