金VS尊厳
「早くしないとおいてくよ!」
ピンクジャージおばさんに連れられ、星凪は古びた雑居ビルの屋上に来ていた。
そこには塗装が剥がれかけたプールと、
昭和の名残を感じさせるベタついたベンチ。
コンクリの壁にはヒビが入り、鉄柵は赤錆びている。
建物全体が今にも崩れ落ちそうな雰囲気で、足元が自然とすくんだ。
「はい、ここで着替えてね♪」
「結局脱ぐんじゃねぇか!」
天井の蛍光灯はチカチカしているし、床はベタベタしているし、
どこからか消毒液とヤニの匂いが漂っている、廊下をすぎ
案内された更衣室のカーテンをくぐると、渡されたのはハイレグのワンピース水着。紺色に白いフリルが縁取られた、妙にレトロでやたらと布地の少ない代物だ。
星凪は手に取った瞬間、下にあったもう一着に言葉を失った。
おばさんが差し出したのは――
紺×白フリルのハイレグワンピース水着。布面積は“適性外”レベル。
星凪は両手で顔を覆い、
「紐じゃねえか!ど、どこ隠すんだよコレ! 」
と言いながら、頬を真っ赤にしつつ制服をひん剥き、
一人悲鳴をあげる。
肩紐は細すぎて糸電話状態、カップはヤングコーン1本分しか隠せず、
腰の切り込みはもはやビキニの暴挙。
鏡の前でお約束の『恥ずかしポーズ』を取ってみれば――
「……やば、平らすぎて逆にエロい…」
だが着替えないとバイト代はもらえない。震える手で制服を脱ぎ、
恐る恐る水着を着る。胸元のカップはスカスカで、
紐が肩からずれ落ちそうだ。鏡に映る自分の姿に、星凪は凍りついた。
小さな胸のせいで谷間など全くなく、肩紐が浮いてしまう。その隙間から中が見えそうで余計に羞恥心が煽られる。腰のハイレグは股に食い込み、
ちょっと動くだけでお尻の丸みがほぼ丸出しだ。
星凪は真っ赤になりながら肩紐を直そうとしたが、
余計に乳首が布に擦れ、ビリッとした刺激が走った。
「うわっ、何これ痛ぇ! 痛てぇよォ…っ!!!」
プールサイドに出ると、カメラマン中年おじさんがニヤリ。
助手の兄ちゃんがフラッシュを構え、撮影が始まる
「おっ、いいね~! もっと股を見せて! ほら胸張って――」
「胸張ったって… ねぇよそんなもん!!」
反論した瞬間、カメラがバシャバシャと連写。
スターライトならぬプールライトの下、背に腹は代えられないと
星凪は必死にビーチボールを抱え、浮き輪に跨り、
セクシーポーズを試みるも――
水鉄砲で水をかけられるたびに薄布の水着はさらに透け
下着もつけていない貧相な体型がくっきり浮き出た。
「ちょ、マジでやめてくれ…これ完全に透けてんだろォォォ!!!」
ガハハ笑うカメラマンの声だけが屋上に響き
耳まで真っ赤になりながらポージング地獄
ついには
「ただのポ〇ノじゃねぇか!だましやがたなぁぁ!ババぁ!」
と叫びたくなるが、明日の食費と己の逸物を取り戻すためと
恥を忍び、涙目で耐える
休憩中、紙袋を手渡された星凪。
「スポンサーのご厚意よ♡ 次はコレ着てね♪」
袋の中身:白い花柄レースのブラ&ショーツセット。薄さは“透ける前提”。
更衣室で試着すると――
ブラ
小胸を無理矢理寄せてギュウギュウ圧縮
乳首がレース越しに浮き出し、痛みと痒みのダブルパンチ
肩紐が細くて鎖骨を刺す勢い
ショーツ
腰骨の上ギリギリでカットされ、防御力ゼロ
一歩歩くたびに股間をクリティカルヒット
星凪は思わず自分の下腹を抱きしめ、
「お、お前、これ衣服か!?」
と口走り、肩を震わせながらカメラマンの「OK! 次行こう!」コールに怯える。
撮影が終わると、おばさんからの言葉。
「夜の仕事もあるから、興味があったら声かけてね期待してるわよ♡」
「よ、夜…!?」と絶望の声を残し、アパートへ帰還。
敷きっぱなしの布団に座り込み、レース下着を力任せに引き千切ろうとするが、
タグがしぶとく引っかかる。
なんとか脱ぎ捨て、ポッカリ開いた股間を見つめ、
「くそ!、平成初期をなめてた!」
時代は昭和の風習が色濃く残る平成。
倫理観が終わっているのを忘れていた特にテレビや
メディアの業界は倫理観が終わってる界隈の代表格だったのを思い出す
朝っぱらからテレビで未成年にビキニ着せても、なんも思わない
視聴率正義の連中だった
財布を開けば1,000円札1枚と小銭、そしてその横に置いてある
5人の諭吉。
「このままじゃまずい別の方法でお金を集めなきゃ」
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