第9回 性獣

あまりにも激しい下品なセックスだった。

 小倉に、体中を舌で愛撫された、夫の雄二は決して求めなかった、体の向きを換えて互いの秘部を舌で愛撫し合った。

 激しく何度も突かれた。正常位でしか繋がらなかった夫とは違い、何度も違う体位で攻められ、小倉の上で、

「自分の気持ちいいように動いて」

と耳元で囁かれ、恥ずかしさで腰を動かし続けた。

 ついには、壁に向って立たされ、後ろから貫かれ、何度も絶頂に達してしまった。

自分の中で何かが爆発して、行為に夢中になった。抱きしめられながら頂点を迎えた。

 

 湯船に小倉と裸でつかりながら何度もキスをした。雄二が決してすることのなかった激しい性交。2人で風呂に入るなど一度もなかった。

 1年に一度あるかないかの夫婦の営みなど、脳裏から消し飛ぶほどの激しさに、興奮した。

「すばらしかった。愛しています。」

と言って抱きしめてくる小倉をなぜか愛おしく感じて、私も抱きしめ返した。唇を重ねた。


 それでも下着をつけながら後悔と罪悪感が湧き上がってきたが、たった今の情交の興奮が上回っていた。

 それからどうやって家に帰った覚えていない。

「ただいま。」

「遅かったね。大丈夫。」

雄二は寝ずに待っていてくれた。

「飲みすぎちゃったみたいで、ファミレスで少し休んできちゃった。」

自分の口から自然の嘘がでた。

「お風呂沸いているよ。」

「ありがとう。」

 二度目の風呂に入って、小倉との行為を消し去ろうと体をこすると、敏感になった体が、少し前の興奮を呼び起こした。


 雄二はいつものようにベッドで寝息をたてていた。いつものように横に滑り込んだ。穢れた体を少し離して眠った。

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