第3話 怪物
よし、もうすぐ出口だ! とりあえず外に出たら……歩いてでも家に帰ろう、こんな地震が起きた後だ、余震なども考えないといけないが……それよりもなによりも今部屋の中大惨事になっているに違いない、そんでもって……。
「……え?」
光の中へ入ったその瞬間、俺の甘い考えはすぐに崩れ去った。
「なんだ……これ」
得体の知れない怪物たちが、まるで繁華街の人だかりのように沢山立っていた。
緑肌で、長い耳を持っている、いかにも人間ではない何か。
それが沢山……。
「ひ、ひぃ……」
俺は……年甲斐も無く腰が抜けてしまった。
すると、怪物たちは……そんな俺に向かって一斉に視線を向けてきたのだ、その視線は明らかに同じ立場に向けるものではない、俺を食べ物か何かだと思っている。
爪を立て、あるいは武器を持って、「食料を見つけた」と言いたげな顔で俺を見ている。
「に、逃げなきゃ……」
立ち上がろうとするも、地面が滑ってうまく立ち上がれない。
地を這う虫のように、俺は少しずつ下がっていくことしかできなかった。
こ、こんなのないだろ……地震に遭遇した挙句、こんな奴らに食われて死ぬのか……?
も、もうダメなのか……このまま死ぬしか……。
気が付くと、壁まで追い詰められていた。
「だ、ダメだ……死ぬ!」
先頭にいた怪物が手に持っていた棍棒のようなものを振り下ろしてきた……終わった、俺の人生……俺は静かに目を閉じた。
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