トメの嫁孫大好き奮闘記⭐︎
みずか🎼
第1話 嫁サイド
常々、姑はかわいそうな人だった。
結婚後は嫁姑問題で苦労したと言うのに、旦那を産んだあと、まだ子育てが大変な時に舅に事故で先立たれたという。
1人で仕事も子育ても頑張って、やがていびってきた義母のことまで介護をして、旦那を立派に育て上げたことは尊敬に値するし、私は姑を好きになろうと努力してきた。
でも、これはないだろう。
「跡取りは男じゃないといけないのに!なんで女を産んだんだ!」
可愛い私の赤ちゃんを見て第一声がそれだった。
妊娠を告げた時姑が″男の子だったらいいわねぇ″と何度も言ってくるものだから、妊娠中に女の子と分かっていても
″生まれる日まで、性別は内緒なんですぅ⭐︎″
とはぐらかしてきていた。
いくら男の子を切望していると言っても、こんな可愛い子を見たら
″女の子天使!″
と騒ぐに違いないと思って、病室に姑がくるのを楽しみに待っていたのに。
私の娘を、否定した?
産後ということもあり、気持ちに余裕がない私は″かわいそう″と思っていた姑に殺意を覚えた。
病室には旦那と私と赤ちゃん、そして姑の4人しかいなかった。
旦那は何かを言おうとして口を開いた。
だけどそれよりも早く私が動いた。
ベッドサイドにあるリモコンを取るとためらうことなく、姑の肩に思いっきり投げつけてやった。
「あんただって女だろ!?出産っていうのは世界一の仕事って言われてんだよ!あんたはそれを経験したのに、何で女を否定できんだよ!女手一つで育てた上に姑の介護までしたあんたをなんて立派な人なんだろうと尊敬した私がバカだった!出てけ!二度と来んな!」
一気に捲し立てて、姑は固まったまま、落ちたリモコンを拾うことなく、痛いはずの肩に触れることなく私を見た。
「何見てんだよ!さっさと出てけよ!もっと投げんぞ!?」
次はスマホを上に振り上げてやった。
姑ははっと我にかえると、何も言わずに病室を出て行った。
「謝れクソババア!」
出て行ってもういないのに、ドアに向かって私は叫んでいた。
「おい!お前も黙ってんじゃねーぞ!自分の娘が否定されたってわかってんのか!?」
と、旦那に八つ当たりもした。
いや、何か言おうとはしていたんだけどね。
遅いから、こいつも悪い。
殴らなかっただけ私はえらい。
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