素粒子ファイトクラブ

艸邑

素粒子ファイトクラブ

ここはファイトクラブと呼ばれる連日熱い闘いが行われている場所だ。

廃弩級戦艦の中で行われている「素粒子ファイトクラブ」に行ってみることにした。

弩級戦艦の中と言うだけのことはある。かなり広い。しかし妙に静かだ。ファイトクラブは闘いの場だ。人々の歓声や興奮の声が聞こえるはずなのに。

遠くに煌々と光る場所を見つけた。そこに向かって歩き出した。

そこには、網の中に屈強な男たちが目を瞑り向かい合っていた。網の周りには10〜20人くらいいた。

近くで観戦していた男に話を聞いてみた。

「今はどういう状態なんだ?」

「今かい?中盤っていったところかねぇ」

全く分からない。ただ、目をつぶっているだけじゃないか。

「おまえさん、ここ初めてか?」

「そうだとしたら…」

「なら、よく見ておくんだな。すごいこと起きるぜ。」


網の先を見ていると奥に立っていた男が急に血を吹き出した。腕のあたりからだ。

全く何が起きているか分からないが面白い!

目をつぶっているだけなのに出血するのか。

「そろそろフィニッシュだ、派手に行くぞ」

パーーン!と音がなり奥の男が倒れ込んだ。

おおおおーー!!と艦隊が揺れる声が響いた。

すごすぎる。これは超能力の類か?


「新人さん、ここは素粒子ファイトクラブ。

自分自身が纏っている素粒子を相手にぶつけ合って殴りあうファイトクラブなのさ。」

「素粒子って?」

「あらゆる物体、原子の最小単位であらゆるものを構成している元としている粒子だ。

意識を集中して空気中にある素粒子や体に纏っている素粒子を操作して戦っているんだよ。」


オカルトか超能力の類だ。全く感覚が分からない。

「ここでファイターとして闘えるにはかなりの時間がかかる。本物しか立てない舞台なのさ。」

夢のような場所だった。熱い闘いが脳裏にこびりついて離れなかった。

しかし、素粒子で殴るってなんだ?

ファイターとして立つには、まだまだ時間がかかりそうだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

素粒子ファイトクラブ 艸邑 @sorewanaiyo06

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ