言葉の彩り


 比喩、聞きなれたことばですが、いざ説明を求められると案外難しいですよね。

 そんな経験ありませんか?

 比喩とは、ものごとを別のことばやイメージで表現する技法のこと。

いくつか種類があります。


・直喩 「~のような」、「まるで〇〇だ」とはっきりした具体的な例え

 君の笑顔はまるで太陽のようだ

 寒い日差しに包まれる春の陽だまりのような存在だった


・暗喩 「ような」などは使わず直接置き換える

 君は太陽だった

 夜しかなかったボクの世界に、君が昇ったんだ


 ・擬人化 人ではないものに人のような行動や感情を持たせる

 太陽がほほ笑んでいた

 雲のむこうで、君が光になってボクをみていた


 どうでしょう?

 学校で習ったけど、結構忘れていますよね



 前回の文章の模写などがデッサンのような基礎能力の練習であるなら、

この比喩は文章の色彩といえるのではないでしょうか?


 なくても困らないけど、あると一段深くなりますよね。


 この比喩もデッサンなんかっと同じで、使えるけど使わないのと、使えないのではわけが違います。

 特に語彙が必要になるので、通常の文章にも深みがでるのではないでしょうか。


 さてこの比喩の練習方ですが、まずは詩などを見てみてはいかがでしょう?

詩には比喩が使われている作品も多く、カクヨムにも詩のジャンルがあるので無料で読めます。

 図書館には詩集もあります。


 まずは出来上がった詩の比喩表現をまねていましょう。

 学ぶの語源はまねる、なんいいますしね。


 そのあとは、自分で別の比喩に置き換えてみてください。

 直喩を暗喩にしたり、擬人化にしたり。

 もとろん直喩のまま別の表現にするのもありです。


原文:夜の空には黒いカーテンのような星空が広がっていた

自作:空は濃い墨汁をこぼしたみたいに、黒くどこまでもつづいていた


 こんな感じで、他の人の比喩を自分だったらどうするかな?と考えてみてください。


さらには、一つの対象を複数の比喩でそれぞれ表現してみてください。

 夜空を直喩、暗喩、擬人化で表現したり。


 今度はそれを短文に昇華してみて。

 短文の中で複数の比喩の技法を織り交ぜたり。


テーマ:ガラス

ガラスの前に立つと私が透けて見える。

それはまるで鏡のようだけど、実際は薄っぺらいだけの私を嘲笑っていた。


 こんなふうに。

 結構楽しくて私は好きですよ比喩。


 この比喩を使うと、主人公の激情などをそのまま描写してなんだか安っぽくなったりするのを防いでくれます。



 比喩に正解も不正解もありません。

自分の感覚やことばを表現すること、それ自体に価値があります。

 知れば誰でも使えます。子供でも、です。


 ただ成長がないわけではありません。

 比喩は上達するとかという表現よりも、洗練されて深くなる印象ですね。


 この機会に少し触れてみてはいかがでしょう。


 では最後にひとつ。

 今宵のお題は「月」。

 直喩、暗喩、擬人化──お好きな形で言葉にしてみてください。


 授業ではないので発表しなくてもいいです。

 こっそり教えてくれても構いません。


 楽しい比喩の時間、お楽しみいただけましたか?

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