第四章 それでも、歩き出す

24歳。蓮は、施設を出た。


最初のバイトはコンビニ。次は建設現場。そして、夜勤清掃。

どこでも上手くやれなかった。笑い方がわからなかった。

人の輪に入ろうとすれば、過去が邪魔をした。


それでも、彼は一つだけ変わったことがある。


それは、「逃げることはやめよう」と決めたことだった。


一歩、一歩。それは、誰にも褒められない小さな歩みかもしれない。

でも彼にとっては、夢の続きだった。


「いつか、誰かの心に希望を与える人間になりたい」


かつて、自分に差し出された手があったから。

それが、どれだけ救いだったかを、彼は知っているから。

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