第13話「三人寄れば迷走の知恵」

日曜の昼下がり。

すみれの狭いアパートに、また3人が集合した。


すみれ:勘解由小路無花果様の衣装を再利用


まどか:北斗の拳ヒロイン再登場


あかり:なぜかサンリオのキティTシャツを改造して鎧に



「今日は撮影会だーっ!」

あかりのテンションに押されて始まったが――早くも波乱の予感。





惨事その1:小道具大暴走


あかりが「絶対映えるから!」と持ち込んだのは、なぜか特大の木刀。

「これで戦闘ポーズ取ろう!」

……が、部屋の蛍光灯にガンッと直撃して割れかける。


「うち、賃貸なんだけど!?」

「命がけのコスプレっしょ!」

「いや違うから!!」





惨事その2:撮影アプリの沼


まどか「このアプリ、肌が盛れるんだって」

すみれ「ほんとに?」


撮ってみたら――

三人とも顔がつるんと加工されて、豆大福ユニット爆誕。

「いやこれ、可愛いんじゃなくて和菓子だよ!」





惨事その3:衣装混線事件


脱ぎ散らかしたウィッグや布が床に散乱。

気づけば誰がどの小道具持ってたのか不明に。


すみれが黒ウィッグにキティ鎧を装備し、

まどかが無花果様の扇子を持ち、

あかりは北斗ヒロインの布を腰に巻いて踊る。


「……新ユニット《寄せ鍋戦士団》誕生ですね」

「ネーミング適当すぎ!」





気づけば夕方。

まともな写真は一枚も撮れてなかったけど、

お腹が痛くなるほど笑った。





「私たち、ほんと迷走してるね」

すみれが言うと、まどかもあかりも声を揃えた。


「でもさ、迷走するのも青春っぽくない?」





その言葉に、すみれは思わず笑った。

三人でいると、失敗すら宝物になる気がした。







つづく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る