3
「見たまえ、猫屋敷クン。あの女性、おかしいとは思わないかね?」
「おかしいところなんてありますか?僕にはいたって普通のO Lさんに見えますよ」
桜が咲き始めた三月の夕方、帰宅時間の駅前は人の波で溢れている。その雑踏の中、先輩がにやけ顔で言う。僕と先輩は今日も今日とて街に落ちた事件の種を探している。
「まったく。キミも推理愛好会の一員なのだからしっかりしてくれないと困るよ。探偵たるもの常にアンテナを張り巡らせなければ」
そういえば、最近、あの公園のあたりで変質者が捕まったそうだ。なんでも鳩の餌やりをしながら通学路を見張り、下校途中の女子高生を見つけると、コートの下に隠された逞しい肉体を見せつけるらしい。筋肉を自慢したいならボディビルでもやればいいのに、なんとも新しい変態だ。
この事件のことを先輩は知っているのだろうか。まぁ、知っていようがいまいが関係ないのかもしれない。探偵の仕事は推理なのだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます