意味わからん人

第5話 熊の倒し方

俺はぽてぽて歩いて裏山へ向かう。山といっても険しくはない。それどころか、もはや丘と言っても過言ではないくらいの山だ。俺は山頂まで登って、地面にごろんと寝そべる。風で草木がサァッと揺れる。この音と、俺の頬を優しく撫でていく草や葉が心地良い。すると、後ろでガサッと音がした。俺は何故か危険を感じて流れるように起き上がる。

「え……熊……?」

目の前には熊が腕を振り下ろした状態で立っていた。裏山に熊なんていたんだ。いや、聞いて無いんですけど。ていうか、さっきまで俺の頭があったところに熊の腕振り下ろされてる……。起き上がるのが少しでの遅ければ今頃あの世に行ってたと思う。熊はゆらぁと立ち上がり、俺に向けて腕を振り下ろす。なんとかかわして距離を取ったものの、少し腕に爪が掠った。それに、熊はもう一度近づいてくる。……今度は、逃げられない。どうすれば……!と、熊が倒れた。倒れる前色々あったけど。とりあえず一瞬のことすぎて頭がついていけてない。

さっき……熊の横、俺の背後からものすごい勢いで男の人が飛んできて、熊は脇腹を蹴られて失神して……。この人どんだけのスピードで突っ込んできたんだ。しかもなんか頭右向いて足左向いて、飛び蹴りみたいな感じになってたけど。飛び蹴りってあんなにスピード出るっけ。あれ、出たかもしれない。この人が出してるから出せるのか。うん。


……なんで?

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