ハイウェイ・パニック

岸亜里沙

ハイウェイ・パニック

「おかしい・・・」


に気づいたのは、数分前。


運転中の車から、何気なく大渋滞中の反対車線を見ると、奇妙な事になっていた。


それは、連なる車列のナンバー。


最初に見た車のナンバーが100だったが、そこから99、98、97、96と徐々に減っている。


「なんだこれは?偶然じゃないだろ、こんなの・・・」


運転席に座り、一人で呟く。


「まさか、これはカウントダウンか?」


前方を見るが、深い霧がかかっており渋滞の終わりは見えない。


「視界が悪いんだ。運転に集中しろ」


気にしないようにと自分に自己暗示をかけるように言うが、やはりどうしても反対車線の車列に目がいく。


75、74、73、72。


やはりナンバーの数字は1つずつ減っている。


背筋に冷たい汗が伝う。


濃霧に閉ざされた別世界にいざなわれているかのような、不気味な感覚に陥る。


50、49、48、47。


カウントダウンは続く。


「マジで、どうなるんだ・・・?」


道は一本道で、このままこの道を走り続けるしかなかった。


「気にするな・・・、見ちゃダメだ・・・」


だが、やはりどうしても目が追ってしまう。


36、35、34、33。


どんどんと減っていく数字。


得たいの知れない恐怖に襲われ、車を停めようとしたが、ブレーキが効かない。


緩やかな下り坂。


車列のナンバーとは反対に、徐々に上がるスピード。


「嘘だろ・・・」


14、13、12、11。


迫るタイムリミット。


「と、止まれっ」


ブレーキはやはり効かず、スピードは落ちなかった。


10、9、8。


ふとカーナビに目をやると、数メートル先から、道路表示がすっぱりと消えている。


「ま、待ってくれ・・・」


7、



6、



5、



4、



3、



2、



1、



「うわああああ!!」





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ハイウェイ・パニック 岸亜里沙 @kishiarisa

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