第19話 スードラへの帰還
今日は予定通り、商業王国スウドラから武装国家ルードラへを護衛をしている。
荷馬車で帰るのだ。
外の天気は晴れ、心地よい風が吹いており、気分も良い。
昨日はスウドラ内を軽く観光をし、万全の体制で護衛出来るように、
早く寝て準備を整えた。
帰りの馬車には、商人のラビンさんがルードラで販売するであろう、
ポーションを大量に荷台に乗せている。
2000個はあるのでは無いだろうか?
ポーションのビンが割れないように、帰りは少し速度を落としている。
今まで、冒険をしてきて分かるのだが、ヒーラーがいないパーティーは、
HP回復にはポーションが必須となる。
ルードラのギルドでは、ほとんどヒーラーがいない。
マリー含めて3人しか登録していない。
名簿があって、気になって調べた事があるのだ。
それ以外の職業メンバーは約300人ほどいる。
回復ポーションがあるかないかで、クエスト達成可否に大いに影響がでる。
もちろん生死さえも。
スードラ王国では、ポーションは重要が大いにあり、数多く売れるのは
想像に難しくはない。
「スウドラは、ゆっくりできましたか?」
「とても発達した貿易が盛んな国なので、武器や防具、アイテム、食料など、
いろんな物が自然と集まります」
「スウドラ名物、スウドラ飯は食べましたか?」
「はい、発祥のお店で食べました!」
「食べないと3年寿命が延びると言われてますよね」
「ほんと美味しくて、食べてよかったです」
「私も、こちらに来る時には、必ず食べるんです」
「あれを食べないまま、帰れないですからね」
世間話をしながら、慌てずゆっくりと移動していく。
道中夜は必ず、福太郎に警備をしてもらい、馬と人を休ませる。
そのおかげで、日中は馬車を順調に進められた。
前回、盗賊がいた岩場は、今回は何も起きなかった。
トラブルと言えば、車輪が1つ割れてしまって、走行できなくなった事があった。
必ず馬車にはスペアの車輪を2つ用意してある。
俺も手伝いながら、取り換えに30分ほどかかったくらいである。
帰りはかなり順調に進む事が出来、後1日ほどで目的地の
ルードラへ帰ってこれる距離まで来た。
ここまでくれば、魔物や盗賊が出る事もほぼない。
今回の護衛クエストは、無事達成できそうだ。
途中、休憩しながらも馬車の上にほとんどいるので、
同じ体勢でずっといるの、多少身体の疲労が溜まってはいたが、
あともう少しで終わるとなれば、少し元気も出て、会話も弾んでくる。
「ラビンさん、魔法都市スルフに行かれた事はありますか?」
「数回ありますよ」
「今度、魔法使いのメンバーを探しに行く予定なんです」
「そうですか・・・・」
俺は、ラビンさんの声が曇っていたを感じた。
「ここだけの話にして欲しいのですが・・・我々の商人間の情報では・・・・
今、スルフは跡目争いで内部紛争が起こっておりまして、
2カ月前から治安が悪化してます」
「実は今回、魔杖をスラウドへ多く運びましたが、
スルフの商人からの依頼品になります
それだけ、武器を集めて準備しているという事になります」
「直接スルフではなく、わざわざバレないようにスラウドに置いて、
取りに来るのです」
「現王が、かなり年老いてまして、次の王を息子2人が争っている所です」
「半年ほど前から、王国魔術隊と王国魔術剣士隊とで、争いが起こってます」
「本来はどちらも王直属だったのですが、
長男が魔法隊の隊長、次男が魔法剣士隊の隊長となっており、
私物化している状態です」
「もし、行かれる際にはご注意された方がよさそうです」
「なんともタイミングが悪そうですね・・・・」
「ご忠告ありがとうございます。」
今は、護衛を達成させる事が先決。
他の事は、後で考えよう。
徐々に、ルードラ王国が遠く見えてきた。
初めての長旅にだったが、あぁやっと帰ってこられたのだという、安心感がある。
どうやら、俺の故郷はルードラ王国になっているようだ。
無事、護衛の任務が完了し、ラビンさんから握手を求められた。
「ありがとうございます」
「今回、無事大切な商品を運ぶ事が出来ました」
「また、機会がありましたらお願いいたします」
「それと・・・・是非、こちらのハイポーションお使い下さい
わたしからのお礼です」
ラビンさんからハイポーションを3つ渡された。
これは、飲めば全HPを回復できる品物だ。
「いえ、こんな大層なもの、もらえません」
「このような物しか渡せませんが、これからも仲良くさせて頂きたいという
気持ちでもあります」
「では、ありがたく頂戴します」
ラビンさんと別れて、昼間だが宿屋に直行する事にした。
2人とも疲労がたまっているのは、歩き方と顔を見れば分かる。
夜はぐっすりと眠れたが、ほぼ馬車にのっていたため、窮屈であり、
不規則な振動がこの疲労に影響しているように思える。
歩き方がもっさりとしている。
マリーの眉、目が何となく垂れて、雰囲気もどんよりしている。
そういう俺も、同じようになっているのが分かる。
「マリー、ギルドへの達成報告は・・・明日にしよう、今日は疲れた」
「はい、わたしもつかれましたぁ」
宿屋までたどり着き、別れた。
「マリー、おやすみまた明日」
「はい、また明日ですぅ」
俺は荷物と剣防具を置いて、すぐさまベットに寝転んだ。
5秒と意識を保てなかった。
異世界は「翻訳」と「守護神」で安心。穏やかな生活を望んでいますが、波乱万丈で大変困っています。 多助 @kumekumekume
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