第18話 商業都市スウドラでの観光
ここは、スウドラで有名のメインストリート、
買い物横丁である。
店舗がズラーと隙間なく並んでおり、その長さ1キロにもなる。
店舗数は軽く100を超える。
飲食店、洋服から日用品、武器から消耗アイテムまで、
無いという物がありえないほど、何でも安く揃うらしい。
1日で全部のお店は回れるはずはなく、観光でくる場合は、
3日は最低見に来た方が良いと言われている。
俺とマリーは一緒に見て歩く・・・・
欲しい物買いたい物は、それぞれ異なるが、マリーは極度の方向音痴だから、
一緒に巡らないとはぐれて一生会えなくなる可能性も、なきにしもあらず。
それは冗談だが人混みも多いし、はぐれでもしたら探すのに時間がかかる。
観光処では無くなるし、帰りのクエストにも支障が出かねない。
それは大変困る。
「屋台出てるね!香ばしい美味しそうな肉の甘い香りがするね」
「食べながら、見て回ろうか!」
「はい、お腹がペコペコですぅ」
屋台のお兄さんから、お肉の串焼きを3本購入して、
食べながら歩く事にした。
マリーは両手に串を持ち、右手は頭の上の福太郎に、
左手は自分へ、器用に食べながら歩いている。
「ウマイ、ウマイ」
「ジューシーで、おいしいですぅ」
「ほんと美味しいね、当たりだ」
俺たちは、本格的な観光を楽しんでいる。
こういう、のんびりとした日も良いもんだ。
「あっ私、新しい武器が欲しいですぅ」
「せっかくアロー様から加護を頂いて、強くなったから
今度は前線で戦うんです!」
「最近、敵を殴るって事が楽しくなってきたんですよ!」
えっ楽しい?マリーはもしかしてサイコパス的な要素があるんだろうか?
あの加護は正直、チート・・・・・
物理ダメージ半減、魔法ダメージ無効。
片方だけでも、充分なのに2つある。
それはよっほどの強者でないかぎり、マリーは倒せない。
正直、今は俺より硬い。
前線でたたかっているマリーを想像した・・・・
前線にたち、魔法を跳ね除け、敵をねじ伏せながら、
後退する事なく、ズンズン進んでいく。
傷を負っても、すぐ自分で回復させる。
手に持つこん棒をブンブンと振るいながら、
時に笑い声をあげながら・・・・
「ハハハハハハハ」
敵の返り血を浴びながら戦いを楽しんでいる、笑顔のマリーが浮かんできた・・・・
いかーん、相手を撲殺する事に、快感を覚えさせてはダメだ!
バーサーカーマリー
マリーは前線に立たせてはマズイ。
「マ、マ、マリーは、とっておき、切り札だから、
あまり前線では戦って欲しくないなぁ、
今まで通り、後ろで守ってもらいたいなぁ!」
「ほらぁ、マリーが前線で戦ってしまうと、スサーナの出番も無くなってしまうよ」
「スサーナの戦い、見たいよねぇ?」
「スサーナ様はカッコイイですからねぇ!」
「シュン、シュって相手をやっつけちゃうんですから!」
串を剣代わりにし、振りながら話している。
「しょうがない、私は切り札として、頑張りますよ!」
「新しい武器より、綺麗な洋服とか、可愛い洋服を来たマリーと
一緒に冒険したいなぁ」
「そう、リリンさんに、冒険用と普段着用の衣装の作成、
お願いしているんですよー」
「お土産に、何か買って帰りたいですぅ」
「それじゃ、リリンさんとジャックへのお土産を探そうか?」
「はい、そうしましょう」
新しい武器の購入は、今回話をそらして止めて頂いた。
リリンさんへは、矢を放つとき髪留めがあると良いよねという事で、
装飾品の専門店に入った。
マリーは品定めしていた。
手にもったり、いったん停止して考えてみたり、
うーん、うーん、両手にもって悩んだりしている。
真面目な顔で、とても悩みながら選んでいる様が印象的だった。
普段、ニコニコ笑顔だけしか見ていなかったので、時折みせるキリっとした表情は
美少女そのものだった。
あれ・・・・こんなにもマリーって美人だったっけ。
一瞬、ドキっとでもしてしまったが・・・・
いやいや、俺にとってマリーは可愛い妹のような存在。
おいおい、何考えてるんだと我に戻った。
装飾が凝っているシルバーとゴールドの髪留めに決め、購入したようだ。
「喜んでもらえると良いなぁ」
俺に見せて来る。
「とてもきれいだね、リリンさんに似合いそう、
喜んでくれると思うよ」
「えへへへ」
とマリーが嬉しそうに笑った。
そのあと、プレゼント用に包装してもらっていた。
ジャックへは・・・・実用性のあるアイテムが良いと思って。
クエストでも使える、ポーションを購入する事にした。
商業王国でもあるので、ルードラ王国と比べると
ポーションの価格はとても安い。
半額とまではいかないけれど6、7割価格で購入できる。
俺はマリーがいるから、回復薬は必要最低限しか買わないが、
僧侶がいなければ、体力はポーションで回復するしかないので、
必需品でもある。
あって困る事は無い。
ジャック用に5個、俺用に3個購入する事にした。
そうそう、冒険中に良く食べる干し肉も買う事にした。
福太郎の好物でもある。
今回も福太郎先生には、夜間警備という大変ありがたい仕事をしてもらっている。
そのおかげで、俺たちは夜ぐっすり休む事が出来るのだ。
夜勤手当として、福太郎の好きな物を選べせてあげた。
丁度、試食も出来たので、味見をしてもらった。
「この肉は、後味が悪い、ダメ」
「これは、匂い、クソ」
「これこれ、素材の味を生かして、さらに深みがあるやつ!これにした!」
最高級の干し肉を選びやがった。
普通の2倍の価格で、丁寧な紙に包装されている。
購入して店を出てその場で、一かけら福太郎にプレゼントした。
「やったー、うめー」
マリーの頭の上で小躍りしながら、食べている光景は
とても和んだ。
「今日じゃ回り切れないから、明日も見て回ろう。
観光楽しみ過ぎて、帰りのクエストに支障が出ないように、
楽しむのもほどほどに」
「はい!」
「じゃぁ、名物の美味しい物でも食べて帰ろう」
この商業王国スウドラは、ごはんに魚介のスープで炊き上げて
魚介の具盛りだくさんのパエリアのような食べ物が有名らしい。
その名も、スウドラ飯
スウドラへ行って、スウドラ飯を食べないと、3年寿命が延びるとも言われる。
それって、寿命が延びるのは良いんじゃないか?とも思えるが、
食べれば良かった、食べたいと、執着と後悔をしつづけてしまって、
死ぬはずでも死にきれないという話だ。
それほど、美味いという事らしい。
俺たちは、スウドラ飯発祥のお店で、食事をする事にした。
店の前で待つ事30分、店内に入って注文し待つ事30分。
いよいよ、あのスウドラ飯が、今目の前にやってきた。
香ばしい食欲をそそる匂いが、漂っている。
豪快に大皿一つがテーブルの上に置かれる。
俺はビール、マリーはオレンジジュース。
スウドラ飯の色は、濃いオレンジ色。
エビのような物や、きっと貝のような物が、豪快に炊き米の上に乗っている
まさに、パエリアだぁ!
多めに食べようと、3人前で頼んだが・・・見た感じ4、5人分である。
「早くたべましょう!」
小皿に、俺とマリーの分を取り分けて、一緒に食べはじめる。
「う・・・うめぇ・・・」
「こんなに、美味しい料理はじめてですぅ」
これを食べないと、寿命が延びるのも分かる。
「ゴクゴクゴク」
ビールとの相性も最高。
箸が止まらない。
ビール追加3杯、オレンジジュース追加1杯。
あっという間に、平らげてしまった。
「たべましたぁ、もうたべられません」
「満腹だね・・・動けない」
どうにか、動けない身体を頑張って動かして、
会計をして宿屋に戻る。
外は夜になっており、町の明かりがキラキラと輝いていた。
そうして今日の観光は終わった。
明日は、軽く観光して帰りのクエストに備える予定だ。
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