第13話 オーク討伐 ➁
村人の先導によって、オークの住む洞穴に到着した。
オークが確認できたので、村人は帰らせた。
村人を危険な目にあわせるわけにはいかない。
俺たちの作戦通り、見張りのオークが2匹洞穴の前に立っているのが分かる。
相手から見えないように、草木に隠れながら作戦を再確認する。
相手に気づかれないように小声で話す。
「作戦通り、俺とジャックがまずオイルのビンを投げてオイルまみれにする」
「逃げて、追いかけられる所をリリンが火矢で狙撃」
「オークが混乱している所を、俺とジャックが倒す」
「マリーは様子をみて加勢、ケガをしていれば回復」
「はい」
それぞれ、うなずきながら小声で答える。
「では、行こう」
「おー」
俺の掛け声で、討伐クエストは開始された。
見張りのオーク2匹は、作戦通り順調に対応でき倒す事が出来た。
火まみれにさせ、混乱させ隙をつく事ができたのだ。
何より、リリンの射撃の腕前が予想以上に良く、難なく倒す事が出来た。
早く倒し終えた事によって、洞穴の中にいるオークが出てくるまでに
時間を稼ぐ事が出来た。
もう一度俺たちは身を隠した。
その後俺たちが、草木から警戒していた所、
3匹のオークが出てきた。
2匹は先ほどと同じ2mほどの高さ、1匹は一つ頭高い、2m30mほどの高さ。
こいつがハイオークだという事は、すぐ分かった。
3匹は倒れた仲間を見て、咆哮を上げ犯人を捜しているのが分かる。
「殺す」「皆殺しだ」「撲殺だ」と吠えている。
スサーナに確認してみた。
「ハイオークは、俺より強いかな?」
「レベル2つほど上だな」
「だが、動きは鈍い」
「攻撃も遅い」
「攻撃が当たらなければ、問題は無い」
「分かったありがとう」
自分の中で、心の準備が出来た。
仲間に向かって小声で伝える。
「2回戦目、開始しよう」
「おー」
俺とジャックで敵をオイルまみれにし、リリンが火矢で火をつける所までは
予定通りにいった。
オークたちは、火にまみれた事によって混乱し、
こん棒を手放し床に転がって炎を消化したり、
立ながら、手で炎をたたいて消そうとしている。
だがその後、イレギュラーが起こった。
「炎なんてすぐ消える、武器を離すな手に取れ、敵を殺せ、せん滅させろ!」
そんな中、ハイオークの言葉で、オークは炎にまみれながらも、捨てた武器を拾い、
炎を消すのを止めて、敵は正気にもどり戦闘を開始したのだ。
俺はハイオークの前に立ち、戦いを仕掛ける。
ハイオークは、炎に包まれながらも冷静に、俺を見据えながら攻撃してくる。
一回一回、重いこん棒での攻撃。
剣を弾かれる。
相手は油断する事で、戦闘に負けるという事を理解しているのだ。
時間の経過と共に、炎が自然に消えていた。
ジャックとマリー、リリンはオークと対峙しており、
倒すのにまだ時間がかかりそうだ。
ハイオークと対峙して、他の仲間の所へ行かせないのが、俺の今回の作戦でもある。
仲間が他のオークを倒してくれれば、全員でこのハイオークと戦闘可能なのだ。
それまで、俺は倒されないようにし何とか持たせるのだ。
ハイオークは、俺に狙いを定めているのは好都合。
今までの俺の戦闘してきた経験を活かしつつ、戦う。
俺は、相手の攻撃を回避しつつ、まずは他の仲間たちから離れる戦法をとっている。
ハイオークがオークに加勢しては、仲間がやられかねない。
2対1では、かなり戦闘が苦しくなる。
敵の上から振り下ろされる打撃から、右に転がりながらよける。
打撃の威力が強いのが、地面にこん棒が当たった衝撃と音で容易に分かる。
一発でも食らったら、動けなくなり負ける。
軽装な鎧をしているにせよ、意味が無い。
スサーナが言っていた通り、攻撃は遅い。
動きも鈍い。
油断しなければ、難なくよけられる。
ただ避けるだけでも、こちらの体力は減ってくる・・・・
このままの戦法でいいのだろうか?
相手の隙を作り、ダメージを当てられないだろうか?
今、頭が非常に冴えている。
やってみるか・・・・・
そうと決まれば、こちらの戦闘の仕方も変わる。
反撃にでるのだ。
そのあと攻撃を数回よけ、閃光玉を使い、相手の目をくらまして走って離れた。
俺は相手との距離をとったのだ。
剣を
居合が出来る体制になる。
「こいよ、のろま!本気で相手してやる!」
言葉で挑発し相手を誘ってみる。
翻訳のスキルでおれの言葉は、相手に伝わるはず。
「今まで逃げ一方の小僧が、俺に勝てると思っているのか?」
俺を見つけた相手は、激昂して、こん棒を上に掲げたまま俺に向かってくる。
冷静さを欠いているのは分かる。
作戦通りだ。
俺は身動きをせず、相手がもっと近寄ってくるのを待つ。
相手が攻撃を放つ前、こちらが何もできないと思っている距離で虚を突く。
・・・・今だ!
「
遠距離攻撃をあえて放つ。
おれは、剣を抜き相手のひざへ目がけて、剣技を繰り出す。
剣から放たれた、光の刃が閃光となり、勢いよく相手へ向かう。
間近で放たれたため、逃げられず防ぎようがない、それが狙いだ。
相手は、剣が届く範囲までは攻撃しないだとうと、勘違いをしていた。
あえて、居合の姿勢で準備していたのだ。
光の刃は、相手の左足を切りさき、ハイオークは無残に地面に倒れた。
立ち上がろうとするが、上手く立てずにいる。
俺はすかさず、走りながら相手の胸に剣を突き刺した。
「攻撃内容、タイミング、威力、見事」
はじめた、スサーナに褒められた。
仲間たちは、それぞれオークを倒したようで、俺に駆け寄ってきている。
安心したら、力が抜け、その場で仰向けになった。
「こちらは全部片付きました」
「回復必要ですかー大丈夫ですかー」
「ハイオークを一人で倒してしまったなんて、ショウさんはやっぱり凄いですね」
「ハハハ、戦闘を長引かせて、助けてもらう予定だったけど」
「なんとか倒せたよ」
「討伐クエスト達成、さぁ帰ろう!」
俺たちは手を叩いたり肩を組んだりして、
勝利を称え合いながらその場を後にした。
村に到着し、村長に報告して王国へと戻る事にした。
村からのお礼として、パンや干し肉などを沢山もらった。
王国へと向かう馬車の中で、俺たちは交流会と反省会を行いながら帰る事にした。
「今回お互いに、メンバーが人数が多い中でのクエストでしたが、どうでした?」
ジャックが、張り切りながら答えてくれる。
「2人で戦闘する場合とは異なり、阿吽の呼吸で行動できなかった所がありました」
「人数が多いとそれだけ、言葉の掛け合いが大切ですね」
「その点、ショウさんが、指示出ししてくれて、大いに助かりました」
「俺が、勝手に指示だししてしまって、やりづらかったかもしれません」
「そんな事ないですよ」
「俺もショウさんのように、リーダーとして的確に指示だしできるようになるのが
目標です」
どうやら、ジャックは俺を憧れてくれているようだ。
「いつも、指示が分かりやすいから、サポートしやすいですよー」
「作戦や豊富な知識を所持されているので、今回、安心して戦えました」
マリーやリリンに対しても、指示内容は大丈夫のようだった。
「リリンさん、お聞きしたいのですが、弓はエルフだから得意なんですか?」
「細腕なのに、あんな射撃が出来るのは何でなんでしょう」
「私たちの種族は、目が何より良いのと、子供のころからだれでも弓を習います」
「剣を振るのは、重いと感じますが、弓を引くのは軽く感じます」
「同郷のエルフも同じだと、言っていました」
「きっと、筋肉の形状が人とは異なるのかもしれません」
「色んな人の射撃を見た事ありますが、私よりも威力は弱く、
速度とも遅く感じます」
それを聞いて俺は、弓を使うのを止める事にした。
俺は、剣を振るっている方が合っている事に気付いている。
何より、目指すべき剣の師匠ともいえる、スサーナがいる。
まだ足元にも及ばないが、魔熊を倒したああいう戦い方、
剣の使い方をしたいと願う。
「ジャックとリリンさん、この後はどうするんですか?」
ジャックとリリンは顔を合わせ、お互いにうなづいてから回答した。
「俺たちは、2人で色々な王国を巡りながら、
強くなってランクを上げて有名になっていくつもりです」
「まだまだ、経験が浅いので深めてからになりますが、
あと数人メンバーを増やして活動していきたいです」
「ショウさんのようなリーダー成りたいです」
「そういわれると、照れるね」
「きっと、俺たちも他の王国も巡ると思う、その時は情報交換だったり、
またいっしょにクエストしたいものだね」
「ショウさん、見つけた時は、是非声をかけて下さい」
「私も声をおかけしますので」
無事俺たちは王国に着き、ギルドに報告。
報酬を分けて、笑顔でジャック、リリンと別れた。
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