違法魔石による犯罪、アーティファクト、違法術師取締課……ファンタジーの要素を色濃く残しながらも内容は一辺倒ではなく、人間の弱さやそれにつけ込む悪意、人間であるゆえに裁きの手を躊躇わせる主人公の葛藤が強く感じられる人間ドラマです。
最初はささやかな事件から、そうして大きな事件へ。
人間関係を多く構築しない方が恐らく動きやすいけれど、人間が起こした事件ゆえに新たな人間と関わらなければいけない違法術師取締課の方々、そして優しさを持ちながら人間的な弱さを併せ持つ主人公だからこそ、ただの事件として終わらせずそこに苦々しい人間の欲望やら苦悩やらを綺麗に混ぜ込んで織り成すことのできる物語だと思います。
またバトルシーンが秀逸で、スピード感がありながらも情景の一瞬一瞬が目に浮かぶような描写が物凄く格好いいです。格好いいの一言には集約できないのですが、本当にとても格好いいのです。
ぜひ目を通していただきたいダークファンタジーです。