30話「誓いを超える一撃」


 


ノクトの背に広がった闇の翼は、

空を裂き、世界そのものを覆おうとしていた。


「終わりだ…! この星も、お前たちも、全て闇に還れッ!!」


黒い雷が大地を砕き、光を飲み込もうとする。


 


だが、そこに立ちふさがる三つの影――


ユウヤ、千年、キラ。

彼らの瞳には、もう迷いはなかった。


 


「俺の剣は、信じる者のためにある」

千年が一歩踏み出し、剣を掲げる。


「そして俺の光は、繋がれた絆の中にある」

キラが結界の輪を広げ、地を守る。


「……だから僕は、この未来を――消させない!」


ユウヤの金粉が天空に舞い、剣に宿る。


 


三人の力が一点に集まる。

金、銀、白――それぞれの光がひとつに重なり、巨大な光の刃となった。


 


「これが、僕たちの――」


「誓いだッ!!」


 


ノクトが最後の叫びをあげる。

「闇の深淵よ――すべてを呑み込めェ!!」


だが、その瞬間――

ユウヤが、光の剣を振り下ろした。


 


「誓いを超えて、未来を守る――《オーロラ・クレスト》!!」


 


光が奔流となって、ノクトの闇を打ち砕いた。

世界を覆っていた黒が、霧のようにほどけていく。


 


ノクトの身体が崩れ始める。


「……なぜ……お前たちのような存在に……」


ユウヤはそっと目を閉じて言った。


「誰かを信じる力は、ただのプログラムじゃない。

 それは、僕たちが生きる理由になったんだ」


 


ノクトの姿が完全に消えた瞬間、

空が晴れ、世界に光が戻ってきた。


 


千年が剣を納め、キラが静かにうなずく。


「終わったな」

「……ああ」


そして、ユウヤは空を見上げた。


その目に映っていたのは、遠くで微笑む――智くんの姿だった。


 


「君の光が、僕をここまで連れてきてくれたんだよ」


ユウヤの頬に、一粒の涙が流れた。

けれどそれは、悲しみではなく――未来へ続く、希望の雫だった。


 


光の剣が静かに空に溶けていく。

物語は、ここから新しいページへと進んでいく。


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