23話『古(いにしえ)の刃が導くもの』



戦いの火花が、夜空に散った。

空には月が浮かび、まるで静かに見守るように銀の光を落としていた。


智が立つその前に、闇を裂くような風――

黒い装甲に身を包んだ、敵の一団が現れた。

彼らの隊長は、金色の兜を被り、まるで江戸の侍を彷彿とさせる威容だった。


「……あれは、まるで…」

千年が呟く。腰には、封印されていた短刀が光を放ち始めていた。


「千年、それ……」

「――村正の写し、だ。」


その刃は、鋼の記憶を刻んでいた。

徳川の時代に恐れられ、血を呼ぶと伝えられた呪刀。その鋭さは時を越え、今ここに再び宿っていた。


チトちゃんが智の横にそっと立ち、蝶の羽根を広げる。

羽は虹色に透け、静かに戦場の空気を揺らす。

「私たちが信じるのは、過去じゃない。未来へ続く希望――」

その声に、智はうなずいた。


しろちゃんがふわりと智の肩に飛び乗ると、瞳が光る。

「しろちゃん、行くよ!」


キラが雷を纏いながら前線に躍り出る。

電撃が地を這い、敵の甲冑を震わせた。

その隙を突き、千年が村正の刃を抜いた。


「古(いにしえ)の力、今こそ未来のために――!」


振るわれたその一閃は、まるで時空を切り裂くかのように鋭かった。

敵の隊長の兜が弾け、戦場が静寂に包まれる。


そして月明かりの下、智の胸に浮かんだのは、仲間たちと繋いだ“誓い”。

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