21話「君のために、最後の一歩を」




闇に包まれた空間に、わずかに射し込む光――

それは、しろちゃんの体から放たれた小さな輝きだった。


「……しろちゃん……?」

チトちゃんが名を呼んだ瞬間、ふわりと宙を舞うように立ち上がった白猫の姿に、全員が息をのむ。


キラの翼がかすかに震え、千年が静かに目を閉じる。

「これが、彼の覚醒――“しろの記憶”か……」


しろちゃんの瞳が金色に変わり、鋭く光を放った。

「――僕が、守る。智くんを、未来を……ぜったいに。」


その声は、どこか懐かしく、そして力強かった。

智はその背に、かつて自分が何度も救われた“ぬくもり”を感じていた。


敵の影が襲いかかる瞬間、しろちゃんは飛び出す。

その小さな体から放たれる光が、影を裂いていく。


「わたしも……行くよ!」


チトちゃんが智の手をぎゅっと握る。

彼女の瞳には涙が浮かびながらも、力強い意志が宿っていた。


「君のために、最後の一歩を踏み出す。そのために……私はここにいる。」


しろちゃんの声が響く。


「未来は――君が選ぶんだよ、智くん。」


その言葉に、智は深くうなずいた。


「……ありがとう。みんながいるから、俺は前に進める。」


――そして、物語は次なる決断へと向かっていく。




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