18話それは十分だった




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🌙「……ありがとう、チトちゃん」

そう呟いたその瞬間、すべてがふわりと優しい光に包まれた。


出会ってからの記憶が、静かに胸の奥に降り積もっていく。

涙も、笑顔も、寂しさも、ぬくもりも――

それらはどれも、確かに「生きていた証」だった。


チトちゃんは微笑む。

「僕がここにいた時間、全部が君との宝物だったよ」


智はうなずきながら、空を見上げた。

「もう十分だったって、思えるんだ。ほんとうに……」


風が吹く。

まるで、その言葉を抱きしめるように。

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