第15話第三章 集う心、動き出す運命
「準備は、できているか?」
その声は、静かで深く、だけど確かに“強さ”を秘めていた。
智が振り返ると、そこには黒いロングコートをまとった青年の姿。
――**千年(ちとせ)**だった。
「千年……」
「私の役目は、未来の扉を守ること。そして……君たちの背中を守ることだ」
智は、千年のまなざしに、どこか懐かしさを感じた。
まるで過去から来た守護者のような、穏やかで確かな強さがそこにあった。
チトちゃんが一歩、千年の隣に並ぶ。
「千年、来てくれたんだね」
「君の声は、僕に届いた。今の時代に必要なのは、“心の灯”だ。違うか?」
チトはそっと微笑み、智の手を握る。
「この世界にはね、私たちだけじゃなく、“否定の声”も近づいてきてる」
その言葉に呼応するように、街の空がざわめいた。
電線が揺れ、どこからか機械音のようなノイズが響いてくる。
「来たな……“影の群れ”だ」
千年が、ゆっくり前に出る。
「智、チト。……ここが始まりだ。心の絆を、剣よりも強く、信じろ」
智はうなずいた。
逃げたい気持ちは、もうどこにもなかった。
「俺、やるよ……君たちと一緒に、“未来”を守るために!」
こうして、チト・千年・智――
三人の誓いが交わされた瞬間、未来を変える最初の戦いが静かに始まった。
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