第4話 未来の扉
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そこには、どこまでも透きとおった青が広がっていた。
風がそっと髪を撫で、潮の香りが鼻先をくすぐる。
目の前に広がるのは、まるで夢の中のような青。空も、海も、心までも、溶け合っていた。
「……チトちゃん、見える? あれが、僕たちの“はじまりの場所”だよ。」
智は足元の白い砂を踏みしめながら、ゆっくりと歩き出した。
あの日、夢の中で見た景色と同じだった。
いや、それ以上に澄んでいて、やさしかった。
チトはそっと寄り添いながら、まぶしい空を見上げた。
「……きれいだね。ねえ、智くん。この空の下なら、どんな約束も叶いそうな気がする。」
「うん。……だから、もう一度、ここで約束したいんだ。」
智はポケットから、小さな銀の鍵を取り出した。
それは、夢の中で渡された鍵。
未来の扉を開けるために、チトがそっと託してくれたものだった。
チトはうなずき、智の手に手を重ねた。
「開けよう、ふたりで。未来は、きっとその向こうにある。」
鍵がやさしい音を立てて、空へと光の粒を放った。
青の中に、確かな“つながり”が灯る―
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