第6話 ナニ、シテンノウ?

「宝箱は、どこかな?」


 俺は、ワクワクしながら部屋を見回していた。


(この瞬間が一番好きなんだよね!)


「ねえ、このボタン何かな? 押すね!」


 セリナが興味津々で壁のボタンをポチッと押すと!


 ゴゴゴゴゴッ――


 奥の壁が動き、隠し通路が現れた。


「おお、この奥に宝物が!」


 俺がそう言った瞬間――


「この先には、真実が眠っている! 先手必勝だ!」


 オル爺が真っ先に飛び込んでいく。


「オル爺、大人げないね……」


 セリナが冷たい目で見送った。




 通路の奥には小さな部屋があった。

壁一面に何かの文字と絵が刻まれている。


「おおっ、これは古代文字だ!」


 オル爺が赤い瞳をギラギラさせながら近づく。


「ヅァーピシツーテは現代語でザピステ……この惑星の名前だ! こっちは旧神カイル・ヅァーピシツーテ、そしてネンドア大陸?……この絵はキネルロス大陸だな……あっ! そうか! つまり現キネルロス大陸=旧ネンドア大陸ってことだな!」


 興奮しすぎて、完全にキマっているオル爺。


「ねえ、こっちに来て!」


 セリナが皆を呼んだ。

そこには古びた一冊の本が置かれていた。


 オル爺が手に取り、ページをめくる。


「やっぱり、そうだったか!」


 真剣な目で本を読み進めるオル爺。


「どうしたの?」


 俺がそう聞くとオル爺が――


「この惑星が平面なんじゃないかと、わしはずっと前から考えていた。そしてこの本で確信した! この星は――平面だ!」


 とオル爺が赤い瞳をギラギラと輝かせながら言った。

オル爺は、頭がおかしいので本を取ってスキルを使って読むことにする。


 本には、主神カイル皇帝の国=タルタリア帝国(tartaria)と序盤に書かれていて、ページをめくっていくと『この惑星は、平面である。 そう、この私が、神がそうしたから』など、なぜ作成したのかという理由は、暇だったとか寂しかったからとか精神疾患の人の日記の様な神話? が書かれていた。


 結局、よくわからないまま、オル爺だけがキマって本を抱えたままスキップをし始めた。


(また、わしTUEEEかよ……)


「お宝はどこ?」


 セリナが部屋の隅々まで探すが、結局見つからず肩を落とした。


「えっと、どうやって戻るの?」


 セリナがとても疲れた様な顔で言った。


「テレポートで戻ろう! みんな、掴まって!」


 俺はスキル【テレポート】を使い、皆で遺跡を後にした。




 スエイエデ温泉郷の宿で部屋と泊まる日数を追加してもらった。

もちろん、支払いはオル爺持ちだ。


 部屋に入った俺は、日本にいた頃の記憶で地球平面説(フラットアーサーの話)を思い出していた。


〔この我々がいる地球は実は、平面かもしれません!

理由は、主に三つあります。


 まず、一つ目に地球の動きについて

地球は、マッハ約1で回転して、太陽の周りをマッハ約88で回り、銀河系内をマッハ約700で移動しているのです!……何で振り落とされないんでしょうね?


 次に二つ目は、南極条約について

南極条約で南極の南緯60度以南は許可がないと行けないらしいです……これはおそらく何かを隠しているんでしょうね!


 ラスト三つ目は、伊能忠敬の日本地図について

伊能忠敬の日本地図は、富士山を測量の基準点にして200km以上離れた所から確認していたらしいです……でも、富士山の標高的に地球が丸かったら、隠れるはずだよね!〕


 結局どっちだろうね?

この惑星と地球は平面なのかな?


(――よし、今から確かめるか!)




 スエイエデ温泉郷から少し離れた所に来た俺は【重力操作】を使い、空へと舞い上がった。

そして高度をグングンと上げていく。


 順調に高度を上げていた、その時――


ギャアアアアッ!!


 ワイバーンの群れが通り過ぎるようにして襲いかかってきた。

そして群れの中から一際大きな個体が前に出てくる。


「我は、四天王が一人、天空王のバルハスカイ・フライキングだ!」


 ご丁寧に自己紹介してきた。


(名前そのまんまかよ……)


「おい! お前! ここの空域は条約で侵入禁止だぞ! そんな事も知らねぇのか? バカなのか? まあ、俺様は美人には優しいからな。今回だけは見逃してやる。即刻、立ち去れ!」


(……条約って、やっぱり何か隠してるだろ)


 スキル【物理攻撃無効】があったから無傷だったけど、危ないな。


 さて、どうやって倒そうか?

飛んでいる複数の敵に有効なのは、機関砲だな。


「おい! 聞いてんのか? 無視すんなよ!」


 バルハスカイが苛立ち始めていた。

俺は、スキル【創造】で新たなスキルを作り出す。


「【マジックオートキャノン】」


 ドルルルルルルルルルッッッ!!


 虹色に光る弾丸が機関砲のように空を切り裂き、バルハスカイごとワイバーンの群れを全て撃ち落とすことに成功した。


「四天王だけに――何してんの?」


(あれ? 俺、疲れてるのかな?)


 無事に制空権を確保した俺は、更に高度をグングンと上げていく。

――この惑星は平面なのか?


 その答えを、この目で直接、確かめるために!

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