第43話 itai
勇者がスライムやゴブリンを瞬殺し、聖女たちの遺体を守るように位置どる。これはチャンスだ。
おれはゴブリンなどを生成し、向かわせつつ、ミニゴーレムも召喚した。そしてゴブリンやスライムで適度に時間を稼ぎつつ、ミニゴーレムの合流を待つ。
ギリギリだったが間に合った。ミニゴーレムが来たら、突撃の合図。そして突撃した魔物達を盾に、上級ゴブリン魔道士が魔法を放った。
今回放ったのも、やはり雷の矢。もっと全体を雷撃するものもあるらしいんだが、それだと前にいる魔物達を巻き込んじゃうからな。狙いがつけれて、一番強いのが雷の矢の魔法なのだ。
勇者はスライムにゴブリンに、ミニゴーレムと忙しなく剣を振るっていた。そこに雷の矢が到達するが、やはり避けられる。
勇者は聖女達の遺体を守るように戦っている。
おれがその場にいれば、その遺体を狙うように指示を出すのだが、さすがにコウモリネットワークじゃ無理だな。
そして雷の矢は当たる気がしない。とはいえ当たれば大ダメージだろうから、プレッシャーは与えられているのだろうが……
おれはコウモリネットワーク経由で、上級ゴブリン魔道士に合図を出した。
一番強い魔法を撃てという合図だ。もう魔物の数がかなり減ってきているからな。このままでは前衛がいなくなり、上級ゴブリン魔道士がやられてしまう。
ゆえに仲間ごと、だ。
バチバチと雷が矢よりも太く放出され、前にいたゴブリンを焼きながら勇者にぶつかった。
勇者もまさか味方ごととは思っていなかったのか、当たった。
「ああ゛あ゛!」
勇者が痛そうな声を上げ、膝をつく。
効いている。
そういえば鑑定カメラがあった。でも範囲外か。HPは見れそうにない。
すぐさま上級ゴブリン魔道士が追撃の一撃。弱めの魔法だが、その分発射までが早いやつだ。これは事前に指示しておいた。
炎の球が勇者に当たり、燃える。しかし、勇者はシャワーから水を出して、それを消化した。機転が利くやつだ。
だがそうなると、雷が通りやすくなる。
上級ゴブリン魔道士もそれを分かったのか、たまたまか、雷の矢を放った。
勇者が転がって避ける。スライムが身体に纏わりつくが、気にした様子はない。感電もないようだ。着弾地点が悪かったか?
壊れかけのミニゴーレムが拳を振るった。勇者がそれを受け流し、そのままミニゴーレムを斬る。しぶといな。
勇者の剣が光った。そして横薙ぎ。周りにいた魔物が吹き飛び、いなくなる。
その隙に上級ゴブリン魔道士に肉薄し、斬った。
くそ。3000ポイントが。
おれはすぐさま25m外周にミニゴーレムとゴブリン達を召喚。
勇者の下に向かわせる。一気にではなく、時間差で召喚した。
もうこうなれば、持久戦だ。
勇者はどうする? 撤退か?
聖女達の遺体にこだわるなら、移動が遅くなって助かるんだが。
勇者の様子を見ると、聖女に服を着せ終わるところだった。そして、火を出して、燃やし出した。十字を切るような祈りを捧げているので、弔っているのだろう。
ボロボロの身体でよくやる。しかしこれでは足止めは望めないか。
勇者はその後、鞄の中からポーションらしき液体の入った瓶を出した。蓋を開け、それを身体にかける。見たところ完治ではなさそうだが、ある程度傷が治った。
くそ。持っていたのか。
回復は聖女頼みだと思ったのだが、そう上手くはいかないらしい。まあ聖女の魔力がなくなったり、近くにいないこともあるだろうからな。そりゃあるか。
どちらにせよ、勇者は回復してしまった。
だがやることは変わらない持久戦だ。
そういえばポーションを取る際、鑑定カメラの範囲内に来たので、勇者のステータスが分かった。
HPが13244だったのが、ポーションで20563まで回復している。MAXが35732なので大体半分より少し多いぐらいか。
そう考えるとまだ結構削れているな。
現在のポイント:???
ちなみにMPも9625に減っていた。MAXが18555なので、こちらは約半分だ。そこまで魔法を使っている様子はなかったのだが、あの光る剣が結構消耗するということだろうか……。
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