第39話 岐路

 10階層。

 ポイント消費を度外視した、倒したそばから補充されるミニゴーレムに勇者達はたまらずボス部屋に入り込んだ。

 

「何もいない……?」

 遠距離から魔法でチクチクされても、途中で逃げられても厄介なので、ゴーレムは通路の奥の方にいる。


 彼女達が少し進むと、そこには悠然と佇むゴーレムがいた。


 早速勇者が間合いを詰め、ゴーレムがそれに向かって拳を振るう。するりと避けられたが、スライムがピョンピョンと勇者の方に飛びかかり、その途中で青髪の女の放った水魔法で吹き飛ばされた。


 勇者がそのまま駆けて、ゴーレムに斬りかかる。


 勇者の剣がゴーレムの腹に傷をつけ、ゴーレムが少しノックバックした。


 勇者はそのまま追撃しようとするが、ゴーレムの肩からスライムが飛びかかる。


 勇者はスライム達を連続で切り裂き、倒していく。


 そんな勇者の左からゴーレムの拳が振るわれ、勇者はたまらず大きく後ろに飛び退いた。


 いいぞ。戦いになっている。


 その時、聖女が勇者に何か魔法をかけた。回復か?


 そこにゴーレムが、青髪の女の水魔法のガトリングを受けながら駆けていく。

 

 ゴーレムが拳を振るい、それを勇者が剣で受け流した。


 聖女はその隙に後ろに下がっていく。


 しかし勇者は受け流したせいで態勢が崩れている。そこにスライムが飛びかかった。青髪の女もガトリングの魔法を撃ち終わってすぐの今、カバーすることはできない。


 勇者は飛びかかってきたスライム一体を斬り、二体目を斬り、そしてついにスライムに取り掛かられた。スライムが勇者の腕を、顔目指して進んでいく。


 そして勇者がそれに気を取られている隙に、ゴーレムがまた拳を振り下ろした。


 勇者がそれを跳んで避けながら、腕についているスライムを無理やり引っ剥がした。


 惜しい。


 しかし意外と戦いになっているな。いけるぞ。


 そう思った時だった。勇者の剣が光りだした。そしてそのままゴーレムに近づき、横薙ぎ。


 ゴーレムは大きく吹き飛ばされた。そしてその腹には、大きくえぐられたような傷が。


 そんなのありかよ。これが勇者の必殺技ということだろうか? それとも何か魔法との合わせ技とか? まだ技を残している可能性もある?


 分からん。


 …ポイントは少々きついが、おれは鑑定カメラ(3000ポイント)の設置を決めた。これ以上の何かを持っていたらヤバいからな。


 どんな風に鑑定できるのか分からないし、3000ポイントあれば階層を増やすことすらできるので、設置するつもりはなかったが、こうなったら仕方ない。


 現在空っぽの11~13階層の補充で大体1万2000ポイント使って、他にも補充や波状攻撃にも使うとして……ポイント持つかなあ。

 


 現在のポイント:2万5984

 勇者どうしよう。ほんとに。


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