第38話 ミニじゃないぜ
一通りシャワーを終えた勇者達は、そろそろ先に行くことにしたようである。
偽セーフティエリアを出て、出入り口付近にいた魔物を蹴散らし、進んでいく。
ここからは浄化隊も来たことがないので、正解の道は分からないはず。
その予想通り彼女達は道に迷いながらの攻略となり、そのペースはかなり落ちた。
勇者の探知魔法も結構無力化できているようである。割と見落としがあり、不意打ちや罠が決まりそうになることが多い。
とはいえ恐ろしいのは探知魔法だけではない。その強さだ。
どんな魔物を何体当てても一瞬で倒されてしまう。
スライムやゴブリンを送り込み、消耗を狙っているが、効果があるのかどうか。
たまに10体ほど一気に送り込んだりもしているが、一瞬である。
今のところ、倒せるイメージが湧かなかった。
とはいえ消耗を狙う以外できることがないのも事実。やるしかない。
勇者達は6階層を攻略し、7階層に降りてきた。
探知対策にやはり魔物はバラしてある。わざと階段から外れた場所に魔物を集めて騙すこともできるだろうが、それはもっと後である。
一回使うと疑われるようになってしまうからな。
それはそうと、勇者達は網網の罠に中々苦戦しているようである。割と面倒くさがりのようで、いちいち奥からの攻撃を防ぎつつ、網網の壁を壊すというプロセスを面倒くさがっていた。
この罠はこの前のような慎重派の集団にはあまり良くないが、勇者のようなせっかちには良いようだ。確かに時間をかければ安全にできるけど、次第にめんどくさくなってくるもんな。そう考えると、この前の貴族軍達は中々根気強かったのかもしれない。
これまでの階層よりも倍ぐらいの時間をかけて、勇者達は7階層を突破した。
ちなみに勇者に水をかけることにも成功したが、すぐに乾かされてしまった。やはりこちらからも間合いを詰めれないのは課題だな。
そして8階層。勇者は探知魔法を発動し、すぐに右の道にしか魔物や罠がないことに気づいたようだった。聖女達と相談していた。
「魔物も罠も、こっちの方にしかいないみたいなんですけど、どうします?」
「…とりあえず避けて進んでみましょうか」
ということで、彼女達は左の道から進んできた。意外だと思ったが、まあ彼女達からしたら、右の道からしか行けないなんて知る由もないし、当たり前か。万が一苦労して右を攻略して、そっちに階段がなかったら最悪だもんな。
それから彼女達は1時間ほど、左の道を探索して、戻ってきた。
「やっぱりこっちみたいですね」
「ええ」
そしてミニゴーレム3体と、その後ろに控えるゴブリン魔道士一体と対峙した。
少しは苦戦するかと思ったが、ミニゴーレムが簡単にあしらわれ、ゴブリン魔道士は青髪の女の魔法でやられた。勇者の攻撃ひとつで簡単にノックバックするんだもんな。やりようがない。
そのまま9階層も普通に攻略され、10階層に来た。ミニゴーレム6体もそこまで効果がなく、やられる。しかし瞬殺というわけでもないので、一般冒険者がゴブリン戦ったぐらいの消耗はできているはずだ。
そして10階層のボス部屋。
普通に削りに行ってもいいが、来たる15階層の決戦に向けて、勇者達が高ポイントの魔物相手にどう戦うのか見ておきたい。
ゆえに、ミニじゃないゴーレム1体(5000ポイント)と、スライム100体で勝負することにした。
ゴーレムの肩や背中に張り付いたスライムが、ゴーレムの攻撃とともに飛びかかったり、魔法を代わりに受けたりする作戦である。
さて勇者よ。これにどう対応する?
現在のポイント:2万7743
ちなみにシャワーで濡れた髪は勇者が魔法で温風を出し、乾かしたようだった。
聖女はその魔法を使えないからか、勇者に髪を乾かしてもらっていた。
「聖女様の髪、すっごいサラサラ」
「ふふ。ありがとうございます」
「おっぱいも大きい!」
「それは…ありがとうございます」
「何食べたらそんな大きくなるんです?」
「普通だと思うんですけどね……」
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