第27話 最高の合戦
その翌日。つまり聖女が撤退した2日後。浄化隊と思わしき集団が来た。彼らは一様に白い装束を身に纏っていて、何より数が多かった。
15人はいるか……?
予想外だ。もっと少数精鋭のようなものを想像していた。
ちなみに今日は冒険者もすっからかんである。1組、2組いる程度。浄化隊の到着を知っていたのかもしれない。
しかしそれで来ないとは、浄化隊はそれほど過激な集団なのだろうか。
そんなことを考えていると、浄化隊の連中が1階層のゴブリン達と遭遇した。
先頭にいた奴がゴブリンを倒す。
ふむ……腕はそこそこだな。新人冒険者ちゃん達レベルか? 少なくともミディアムヘアの女レベルの強さは感じない。
といっても、おれは戦闘は素人なので正しいかは分からないが。
その後彼らは罠を普通に解除し、2階層に降りてきた。
2階層では彼らは迷いなく進む。その手には地図があった。
なるほど。聖女から情報を貰っているか。
しかし冒険者がいなくなったので、その隙に少し罠などの配置を変えている。
あわよくば、と思ったが、さすがに引っかかる奴はいなかった。だが、時間と精神を削れた。
そして3階層からはバケツ部隊も活躍する。聖女の時は遭遇させなかったからな。後は冒険者達から漏れているかどうかだが……
ビンゴ。上手いこと先頭の奴に水をかけることに成功した。
ただ動き的には知ってそうだったな。タオルは持ってきていないようだが……
彼らはそのまま3階層の、まずは聖女が襲われた地点に向かった。しかしそれは保護派の連中も読んでいる。さらにはおれも。
飛んで火に入る夏の虫だ。
白装束の連中を囲うように、保護派の連中が分布する。
人数的には恐らく白装束が少し有利だが……どうなる?
まず先制したのは保護派の連中だ。彼らが一斉に魔法を放った。
それに対し、白装束も素早く応戦。魔法が相殺され、爆発が起きる。
なるほど。白装束もさすがにこれは想定していたか。
保護派の連中が3人、相殺により起こった砂煙に乗じて、距離を詰めにかかった。
恐らくあの自爆魔法を使うつもりだ。
しかしそれとすれ違うように、白装束の連中もまた同じく、駆け出していた。こちらは5人。
距離を詰めにかかっていた保護派のひとりが魔法により、吹き飛ばされる。風魔法だな。砂煙も一気に動いた。
それにより視界が明らかになると、保護派の連中に、剣を持った白装束が3人、近づいたところだった。
保護派の連中も剣を出し、応戦しようとするが、白装束の奴らはニヤリと笑った。
その瞬間、爆発。また視界が砂煙に包まれた。
そしてまた風魔法を使ったのか、視界が晴れるとそこには、中心に集まる7,8人の白装束の奴らと、満身創痍でその周囲に佇む3,4人の保護派の連中がいた。
「ふはははは! その魔法が使えるのが自分達だけだと思ったか? 愚か者共め!」
白装束の1人が愉快そうに言った。
そう。白装束の奴らは剣で攻撃すると見せかけて近づき、保護派の奴らの近くで自爆したのだ。
そして保護派の連中の自爆要員に対しては、1人を風魔法で吹き飛ばし、残り2人には同じく2人の白装束が飛びついて、その身をもって防いだ。
もちろんその2人は死んだが。
「くそ。狂信者共が……」
「貴様らには言われたくないわ。背信者共が」
「こうなれば貴様ら諸共…」
そう言いかけた保護派の連中に、魔法が殺到する。
保護派の連中は全滅した。
「ふむ。終わったか。…よし。死体には近づくなよ! いつ自爆してくるか分かったもんじゃないからな」
白装束の連中はその指示にきちんと従い、死体にそれぞれ2,3発、魔法を撃った。
どうやら無事に全員殺せたようである。
おれはその瞬間、遠巻きに集めていたゴブリンの半分、10匹を3方向から突撃させた。
彼らはいきなりのゴブリンに焦ったようだった。しかしすぐに落ち着くと、ゴブリンに向かって魔法を放つ。ふむ。結構魔力あるな。
過剰なまでの魔法が放たれ、突撃したゴブリンは全滅した。砂煙が上がる。
このタイミングでおれは残りのゴブリンを突撃させた。
すると上手くいったらしい。
ゴブリン3匹が近づくことができた。白装束の2人に斬りかかる。
1人には剣で防がれたが、もう1人にはクリーンヒット。短剣が刺さった。
と、ここで風魔法でゴブリン達が吹き飛ばされ、追撃の火魔法でやられた。
まあ上々の成果だ。
短剣が刺さった白装束も回復魔法で回復されたが、良い。こうやって魔力と精神を削っていくのだ。
現在のポイント:3万1927
白装束の奴ら7人と保護派の連中10人で大体2万7000ポイント。最高。ふはは!
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