第26話 ショッピング

 翌日は誰も来なかった。強いて言えば、冒険者が最後の稼ぎ時だ、とばかりに勢いを増して、攻めてきたが。


 そのおかげでいつもよりポイントも入った。


 ポイントにも余裕ができたので、ほんの少し贅沢をすることにした。


 食材にも目を向けることにしたのだ。料理するぞ!


 まず最低限、鍋やフライパンがそれぞれ400ポイント程で買えることを確認。少し高いが、これは必要経費だ。仕方ない。


 次に調味料だが、砂糖100gで300ポイント。高い。異世界だから高いってことか? そうだな。胡椒も10gで500ポイントもする。


 逆に塩は良心的だ。100gで100ポイント。これは買いだな。塩が合う何か安い食材があれば買おう。


 酢は500mLで1000ポイントからしか売ってなかった。多いし高い。


 醤油も500mLからしかなかったが、それで250ポイントと中々。これも他に合うものがあったら買おう。でもパンには合わなそうだしな……。


 そうだ。パンに合うと言えばジャム。ジャムは…300gで600ポイント。高いな。

 ハチミツは? 250gで500ポイント。うーん。ギリありだ。一応頭に入れておこう。


 次はお米を見ていく。

 米は1kgで1000ポイントで売っていた。1kgで大体お茶碗15杯ぐらいかだったか。つまり1杯65ポイントほど。パンは10ポイントで1つと考えると高い。なし。


 次は肉。

 といってもこれは見るまでもない。一番安いパックで700ポイント。量も少ないし、今回はなしだ。


 ただ、焼き肉のタレが100gで300ポイントだった。高いが…ありか? いや。パンに合わないしなあ……。保留で。


 次は野菜。

 もやし200gで30ポイントか。さすがに安い。これだけはもっと早く見といた方が良かったかもな。これは絶対買う。


 後は、ニンジンが1本150ポイント。これは高いな。切るとしたら包丁がないから短剣とかになる。冒険者が持ってたナイフとかあるか?


 じゃがいもは3個で200ポイント。1個でいいから安く売ってくれ。しかしニンジンと比べると安い。じゃがバターとかも簡単に作れそうだし……これは第一候補だな。


 後は、さつまいもが1本300ポイント。焼き芋を作るには少し高い。なしだな。


 …お。中華麺が安いか? 1玉で150ポイントだ。


 うどんやそうめんもいいな。


 うどんは1玉50ポイント。そうめんは4束で450ポイントからだ。高い。


 うどんは確か調理済みのものが400ポイントであった。そっちと比べると格段に安い。もちろん麺つゆやネギなどの具はないのであれだが。


 おっ。パスタもあるじゃん。えっと、1袋(300g)で300ポイントか。


 パスタは調理済みのは700ポイントからしかなかったから、それと比べると安い。


 あ、でもミートソースの缶詰が300ポイントもする。高いな。


 まあ仕方ない。


 あ。魚。

 魚があった。塩鯖が1切れで200ポイント。これは手が届く。届くぞ。

 しかもこれなら焼くだけで済む。


 買うか?


 うーん。じゃがバターか、塩鯖か。どちらかだな。


 どっちも? いやいや。そんな余裕はない。


 塩鯖か? 塩鯖にするか? …そうだな。塩鯖にしよう。


 これなら串にでも刺して焼くだけでいいから、フライパンを買う必要もないし。


 それに魚を食べたい。久々に食べたいのだ。


 おれは塩と塩鯖を購入した。


 塩鯖をパックから出し、切れ目を入れ、全体に塩をかける。


 そのまま10分ほど放置した後、キッチンペーパーはないので、代わりに倉庫に置いていたさらのタオルで慎重に水分を拭き取っていく。


 後は焼くだけだ。


 早速ゴブリン魔導士に出してもらった炎で焼いていく。


 フライパンなどを使わないので、直火焼だが、これはこれでキャンプ感があって良い。


 マシュマロが欲しくなる光景だ。買わないが。


 ……もういいか?


 表面にはちょっと不均一な焼き目が付いて、油がジュウジュウ言っている。


 うん。良いだろう。


 では皿に盛り付けて、いただきます。


 身をほぐし、箸でつまむ。うん。良く焼けてる。


 口に入れると塩の効いた魚のジューシーな味が広がってくる。

 ここに来てからずっと、干し肉とかパンとかばっかだったからな。


 こんなジューシーなものは久しぶりだ。美味い。


 しかし大根おろしが欲しくなるな。おろし金や大根を購入することを考えれば、それは無理だが。


 しかしまあ、美味い!


 久しぶりの魚に、おれは舌鼓を打つのであった。



 現在のポイント:5523


 今回料理をしていて思いついたのだが、もしかして冷やし罠の熱湯バージョンとか強いのでは?

 そう思って鍋を買い、試してみると、運ぶのは難しいし、環境維持の効果ですぐに冷めてしまうし、鍋は高いしで、あんまりだった。ゴブリン魔道士が直前に火魔法で温めるならいけるが、そうなると結構ポイントと時間がかかる。

 ただいつかは使えるかもしれないので覚えておこう。

 とりあえず折角買った鍋なので、うどんを茹でて食べた。


 調味料の大切さを知った。


 

 

 

 






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る