第20話 革命
それから5日経った。
相変わらず3階層の変な奴らに変化はないが、1階層にまた新たに変わった奴らが現れた。
彼らは自らをこう名乗った。ダンジョン保護派、と。
そしてこう演説した。
「冒険者の皆さん。我々はダンジョン保護派の者です。今日はダンジョンの保護をお願いしに来ました」
「まず皆さんに問いたいのですが、皆さんはどうしてダンジョンを攻略するのでしょうか?」
「聖典に書いてあるからでしょうか?」
「…違いますよね? 皆さんがダンジョンを攻略するのは魔石を得るためのはずです」
「ではどうしてダンジョンを攻略してしまうのでしょうか。そんなことをすれば、ダンジョンからは魔石が取れなくなります」
「子供でも分かることです。しかしモルダン教は攻略を強制している。これが許されて良いことでしょうか?」
「私達はお願いしたい。ダンジョンを攻略せずに保護しましょうと! それには皆さん一人一人の協力が不可欠なのです!」
「……ご清聴ありがとうございました」
パチパチパチ、とモニター前で拍手が響く。
おれは感心した。この世界にも合理的な奴がいるもんだ、と。
しかし冒険者達の反応は鈍かった。恐らく教会に睨まれるのが怖いとか、そういうことじゃないだろうか。
まあ仕方のないことだ。
その反応は保護派の奴らも予想済みだったらしい。特に気にすることもなく、彼らは粛々と、奥へと進んでいった。
そして今、3階層の彼らの所へ、向かってきていた。なるほどな。
ダンジョン保護派の奴らが、3階層の変な奴らの方に近づいてくると、変な奴らは一斉に敬礼した。
「お疲れ様です」
その敬礼も意に返さず、ダンジョン保護派のリーダーらしき人物が言った。
「いやあ、参ったよ。誰も聞く耳持ってくれなくてね」
その言葉に、リーダーの後ろにいた人物が相槌を打つ。
「それだけモルダン教は根深いということですね...」
口ぶりからして、部下らしい。
「厄介だね。全く」
リーダーがそう呟くと、少しの沈黙の後、変な奴らの内、ひとりの男が言った。
「……では予定通り、遂行ということで?」
「ああ。仕方ないね」
リーダーは極めて平然と言った。
その翌日。ダンジョン1階層の広間では、また騒ぎが起こっていた。
「おい。あれ……」
「ああ。聖女様だ」
そこに居たのは、ひとりの美少女だった。彼女はゆったりとした法衣を着ていた。
「初めて実物見たぜ…」
「すげえ可愛いな」
冒険者がそう口々に言った。おれもすごく同意だった。
物凄く可愛い。元の世界のアイドルを遥かに超える可愛さだった。
……が、それ以上に目立つものがある。
そう。彼女の胸はゆったりとした法衣越しでも分かるほど大きかった。
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デカい……
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