第16話 透き通った水
早速水の罠を、3階層でテストしてみることにした。
3階層は入り組んだ道が多いし、最近は最短の一本道を避けて探検する冒険者がちらほら出てきたので、丁度良いのだ。
用意自体もバケツと水を用意するだけなので簡単だし。
そうして用意して少し待つと、そこに一組の冒険者が来た。女の子もいる。ワンピースのような上下一体型のローブを着ている子で、ここがポイント。
水で濡らせば張り付いて、良い感じになりそうだと思うのだ。
服が水を吸うと中々乾かないからな。
逆に男達はダメだな。鎧を着ているので、水は染み込まない。
まあ、インナーなんかは濡れて、着心地はかなり悪くなりそうだが。
よし。水責め、開始!
まずはスライム矢の罠で気を引き、その隙にゴブリンが近づく。これまでこのパターンの罠は何度もあっただろうが、今回ゴブリンが持っているのは剣ではない。バケツだ。
走ってきた勢いのまま、バケツでバシャンと冒険者達に水をかける。
想定外のその攻撃に、まずは前衛の剣士が頭から水を被った。
その隙にゴブリンはせっせこ撤退する。
「大丈夫か!」
敵に何かしらの液体をかけられたのだ。剣士の仲間は心配して彼に駆け寄った。
しかし彼は何ともない。
「あ、ああ。大丈夫だ」
少し疑問に思っているようだったが、そのまま進むことにしたようだ。
リュックからハンドタオルを出して、拭こうとする。
そうはさせるか、とまた水を汲んできたゴブリンが今度は剣を持ったゴブリンと一緒に来た。事前にそうするよう指示しておいたのだ。
さすがにこの状況で呑気に水を拭くほど、剣士は呑気ではない。
剣を構え、戦う。しかし事前にゴブリンには引き気味に戦うように言っているので、中々仕留められない。
その時、ローブを着た女の子が炎の球をゴブリンに飛ばした。これは避けられない。
しかしその瞬間、バケツを持ったゴブリンがその炎に水をかけた。
すると、炎の球は水を突き抜け、剣を持ったゴブリンに命中した。
まあ……うん。あんな量の水じゃ、魔法の炎には勝てないってことだな。
バケツを壊さないよう、すぐ撤退するように言っているので、バケツを持ったゴブリンはすぐに逃げてくれた。おかげでバケツは無事である。
しかしゴブリンが一匹、やられてしまった。
その戦いで、剣士の彼は急いでポケットに入れたハンドタオルを地面に落とし、濡らしてしまったようである。
他の仲間から借りて、拭いてはいたが、濡れたインナーまでは乾かない。
そこで、弱風の出番である。
超弱い風でジワジワと体温を奪っていく。
他の冒険者にも水をかけれたら最高だったのだが、そう上手くはいかないか。何か色々考える必要があるだろう。
そう思っていたら、彼らはもう道を曲がり、風の範囲外に出てしまった。
薄々思ってはいたが、水と風のコンボはイマイチだな。範囲が限定的すぎる。今回のように脇道に曲がられたら終わりだ。
ただ、水だけなら嫌がらせとして、良いのではないだろうか。
タオルで拭けるとはいえ、濡れた服というのは気持ち悪いものである。靴下なんかも濡れていたので、剣士はかなり着心地が悪いだろう。
風で冷やす、まで考えると、500ポイントかけて送風機を設置しなければならない。
対して、バケツで水をかけるだけなら、安上がりだし、場所の移動も効く。
中々コスパが良い気がするな。
ということで、バケツを追加で2つ買い、バケツ部隊を、上層で運用することにしよう。
なんて考えている内に、彼らが3階層を突破しそうになっていた。もう半分は過ぎていた。しかしそうはさせない。
トラップがこれみよがしに置いてあったり、ゴブリンなんかで時間を稼ぐ。
さらにバケツゴブリンももう一回だ。
剣士くんの動きはかなり悪くなってきている気がする。
そう思っていたら、彼が矢の罠の矢を食らった。良いね良いね。効果が出てるよ。
そのタイミングでまたゴブリンがバケツを振るい、逃げる。
その時、ローブの女の子に水がかかった。その瞬間、おぉ、と感嘆した。
ローブが身体にくっつき、下着が浮き出ていたのだ。
彼女の仲間もそれに見惚れていたが、すぐに彼女が気づき、身体を隠した。
「ちょっと!」
「あ、ああ。すまん」
「もう最悪。タオル出して」
「…悪い。もうない」
「え?」
「さっきグエンが使ったから、濡れたタオルしかない」
「嘘⁉︎ もう、本当に最悪。じゃああんた達あっち向いといて」
「あ、ああ」
彼らが反対側を向いたのを確認すると、彼女はローブを脱いだ。
おお!
彼女の下着姿に、おれのテンションは爆上がりした。
特にパンツから滴る水滴が素晴らしい。とてもエロい。
意外と胸もある。
斜め上からのアングルのカメラだから、胸の谷間も丸見えだ。
彼女は下着姿で、ローブを絞り、その後魔法で火と風を出し、温風で乾かし始める。
下着姿に、温風で髪が揺らめく。
いやあ。良い光景だ。
やっぱり録画機能のあるカメラが欲しくなるな。
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