第14話 目指すは…
「……マジか」
回った。時計回りだ。
つまりあの女は、生きている。
……そうだ。あそこの通路なら一本道だ。そこを覗き込むようにカメラを設置したら、見えないか?
そう思い、設置してみると、まず通路に、黒焦げになったゴブリン達が見えた。それにミニゴーレムの残骸も。ひどい。全滅だ。
そしてその奥に薄らだが、先ほど送り込んだゴブリンの姿が見えた。
その眼前には、壁にもたれかかる女。
ゴブリンは恐らく槍を振り下ろすところだった。
ゴブリンが槍を振り下ろす。それと同時にポイントが入ってきた。
「死んだ…?」
そんなあっけなく…?
おれは確認するために、女の真上にカメラを設置してみると、設置できた。
そうか……。死んだか。
あまりの呆気なさに拍子抜けしつつも、おれはホッと胸を撫で下ろした。
カメラ越しに女の死体を見てみると、先ほどゴブリンが槍を突き刺したであろう傷の他に、背中からも刺された傷があった。
恐らくあの魔法を放つ瞬間のゴブリンの槍だ。
それが効いていたおかげで、ゴブリンがトドメをさせたのかもしれない。
…しかしあの魔法は何なんだろう。
あんな高威力の魔法があるなんて。
あるいはやはり自爆したとかだろうか。
魔力を全て使った一撃的な奴か?
カメラが壊れたのが悔やまれる。あの魔法を撃った後、あの女は動けたのかどうか。彼女はミニゴーレムに殴られ、ゴブリンに刺されていた。
そのせいで動けなかったのか、区別がつかない。
動けるのであれば、一点集中の罠は危険があると言わざるを得ない。
あの女は1人だったから良いが、4人パーティとかであの魔法を連発されたら、簡単に攻略されてしまうだろう。仲間を範囲外にできるのならの話だが。
今後罠はバラけさせた方が良いのだろうか…?
一晩考えたのだが、今バラけさせても、階層ポイント制限の問題で逐次撃破されるだけだという結論に戻ってきた。
故に今後は階層を増やす事を目標にすることに決めた。
目指すは14階層。そこまでいけば、制限は5000ポイントまでになる。
14階層まで増やすのにかかるポイントは13000。
遠い。しかし買うしかない。最悪、6〜13階層はすっからかんでいい。14階層にポイントを注ぎ込む。
あのレベルには、スライム矢の罠もあまり通じないし、矢の罠の矢も通らない。新たな高級な、攻撃力の高い仕掛けが必要だ。
そうなると、5000ポイント分は設置したいのだ。
5000ポイント設置する分と、階層を増やす分13000ポイント。
さらに食費やカメラ代も合わせると、目標は2万ポイントだ!
……とはいえ、2万ポイントあれば、ゴブリン生成器は10個買える。そしたら1日に100匹だ。
その方が良いだろうか。そもそも生成器を買わなければ、1000匹は素で出せる。
でも結局対面できる数は限られるしな。
今回は相手が1人だったから上手く囲えたが、複数人だったら? 分担されて上手く対処されてしまう気がする。背中を狙われないだけでも随分楽だろうしな。
そうなるとやはり数頼りというのは良くない。
うん。そうだな。
生成器はもう一個ぐらい買って、それを貯めておくだけで十分だろう。10日で100体だからな。
防衛に多様性を持たせることが安定性に繋がるのだ。多分。
現在のポイント:7128
あの女1人で大体8500ポイント。2000ポイントは4階層の補充に使ったが、それにしてもエグすぎる。高すぎる!
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