第8話 腹ペコ
翌日、13時過ぎ。パンを食べている時にそれは来た。
侵入者だ。それもたくさん。格好からしてあの兵士達の仲間。彼らは大広間で立ち止まり、カメラを確認した後、号令を取った。
「いいか! 我々の目的はここがダンジョンかどうかを調査することだ。それが終わったら速やかに去る!」
「はっ!」
「では行くぞ!」
そうして彼らは奥の通路に進んでいき、ハズレの通路を3つほど探索した後、当たりの通路に入っていった。
2階層に来るのかなと思い、そちらのカメラを見ていると、彼らはそこには来ず、1階層の大広間に戻ってきた。
速やかに去るって、そんなに速やかにか。これではポイントが入らない。
それどころか彼らは大広間のカメラを取り外して、持っていった。おいおい。マジかよ。
そして彼らは帰っていった。ゴブリンも2匹やられ、大赤字だ。とりあえず下層から送って補充しておいた。
しかもその日は他に誰も来なかった。マズイぞ……
1階層からカメラがなくなり、2日が経った。兵糧攻めとは……やるじゃん。
そろそろパン以外が食べたい。
誰か来ないかなぁ、と待っているとついに侵入者が来た。
滞在ポイントが僅かに入るのが感覚で分かった。
しかし2階層のカメラには何も映らない。
1階層のカメラがなくなったのが痛いな。
と思っていたら、2階層に誰か現れた。顔に傷がついた剣を持った強面の男と、何も持っていない長身の男、それに杖を持った女だ。
お? これはもしかして冒険者って奴か? 異世界ものによくあるギルド的なのがこの世界にもあるのだろうか。
早くポイントをくれ、とおれは見ていたが、彼らも先には進まず、帰ってしまった。勘弁してくれよ。
やはりゴブリン達もやられており、矢の罠も補充する羽目になった。やべえ。
このままだと飢え死にする……!
しかしおれの焦燥とは裏腹に、その翌日。
大盛況だった。といっても、朝に1組、夕方に1組来ただけではあるが。
朝に来た奴らはスライム罠で全滅し、夕方に来た奴らは、何とスライム罠を突破したが、その後、3階層で手傷を負い、撤退中にすかさず補充しておいたスライム罠でやられた。
いやあ、ポイントが美味い。
さて。ポイントを得たので、おれはとりあえず1階層にマイク付きカメラ(120ポイント)を設置し、そして食事の時間だ。
もう我慢できない。おれはカタログを見た。
とりあえず生、ならぬ、とりあえずパン4つ(20ポイント)とバター(5ポイント)、サラダ(50ポイント)を頼み、後は奮発して干し肉(100ポイント)を頼んだ。
正直写真だとイマイチそうな見た目をしていたが、この際肉ならなんでも良い。それに結構量がありそうだった。
これだけ頼んでも175ポイントと、カレー(300ポイント)より断然安いので、やはりカレーはお預けだ。
他には食材系が安いが、料理するにも道具がない。火もないのでやはり不可。お料理セット(1000ポイント)を買えば、包丁とまな板、コンロとフライパンが貰えそうだが、1000ポイントは高い。
おれはとりあえず干し肉に齧り付いた。肉。久しぶりの肉だ。塩っ辛く、硬いが、肉だ。もうそれだけで美味い。
それによく噛むから満腹中枢が刺激される気がする。これならもっと早く買えば良かったな。
干し肉って日持ちするんだろうか。するなら毎日少しずつ食べるのもありだ。
干し肉なんだから、日持ちする気がする。干し肉って肉を保存するために作られるものだろ? そんなイメージがある。
ならやっぱり日持ちするはずだ。よし。とりあえず3分の2ほどは明日に残してみよう。
それからおれはサラダとパンを食べた。やっぱり肉があるとパンも進む。美味さが桁違いだ。
干し肉、パン、サラダ。ローテーションで食った。
久しぶりによく食った。
最高だ。
現在のポイント:2834
4桁! 久々! 最高‼︎
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