第7話 よしよし

 さて、ダンジョンの強化が終われば、そろそろ調査書の時間である。今日分かったことは


 ①プレートを持った兵士が、ダンジョンの脅威度を調査に来た。


 というそれだけである。


 プレートや統一された装備からして、どこかに所属している兵士である可能性が高く、強さはそこそこ。メインウェポンは槍で、得られたポイントは平均して500ポイントほどだ。


 脅威度を調査に来た旨の発言があることから、どこかの調査隊であることが予想される。


 やはりカメラを黒い物体として、ダンジョンの証と認識しているようである。しかしそれだけではダンジョンとは断定せず、魔物や罠を見てから、ダンジョンと断定した。


 このことから、カメラがあり、魔物と罠があるというのがこの世界で一般的に認知されているダンジョンというものだと考えられる。


 こんなところか。


 ダンジョンに調査に来るのが遅かったことから、街から遠いかもしれない、とか書こうと思ったが、やめておいた。さすがに考えられる可能性が多すぎるからな。


 なので、今回はこれだけ。そんなにポイントは貰えなさそうである。


 そうしておれは硬い床に寝転び、眠りについた。


 ちなみに生成器から生成したスライムは3、4、5階層の罠にそれぞれ派遣しているので、今部屋にいるは初めに生成した1匹だけである。


 彼にはおれが寝ている間、モニターを見ていてもらい、誰か来たら起こしてもらうよう頼んでおいた。1000ポイントのアラームなど要らなかったのだ。





 翌朝。おれは自然と目を覚ました。まだ誰も来ていないようだった。


 スライムが4匹に増えている。壁際にちょこんと集まっていて、可愛い。


 おれは机の上にいる、モニターを見てもらっていたスライムにお礼を言って、モニターに目を移した。


 ポイント増減なし。よしよし。誰も来てないようだな。


 おれは引き続き、スライムに監視を頼み、新たに生まれたスライム3匹を、ダンジョンに配置した。


 ちなみにカメラの数は全体で6個に増えている。ボス部屋と、各階層の要所にひとつずつだ。


 カメラがタダならもっと楽なんだがな。マイク付きで1番安くても120ポイントというのは高い。


 まあ、全体で見ると安いのだが。


 その上の360°首振りカメラなんて、1000ポイントもするし、さらに上の4kカメラは5000ポイントだ。そんなに画質要らないよ。ということで、買う予定はない。首振りカメラも1000ポイントかけるなら、普通のカメラを8台設置した方が得だしな。


 おれが狙っているのはこれ。


 1台3000ポイントの、鑑定カメラだ。


 このカメラに3秒間映っていた相手のステータスを鑑定することができる。やっぱ敵を知るのは大事だからな。これが4kカメラより安いのは中々のバグだと思う。


 その次に欲しいのは、録画機能付きカメラ(2000ポイント)だ。8時間録画できる。とはいえ今の段階では必要ない。


 目指せ3000ポイント、鑑定カメラである。


 



 今日の調査書の報酬は70ポイントだった。まあ、新情報とかなかったしな……。


 さすがにお腹が空いてきたので、パン(5ポイント)を買って食べた。


 もう全く侵入者が来ない。暇すぎて、カタログを眺めるしかやることがない。


 マンガ(ランダム1巻)が、500ポイントであった。ランダムで500ポイントである。テレビも10万ポイントだし、缶ビールも1缶で3000ポイント。


 娯楽商品は軒並み高くなってんだな。


 小説もラノベ、純文学、詩集全部込み込みで、ランダム1巻で500ポイントだった。

 ジャンル指定だと1000ポイント。


 漫画もジャンルを指定すると1000ポイント。


 指定した本を買うなら、5000ポイントだ。


 高い。


 …新しい罠でも考えようか。


 そう思ったのだが、お腹が空いているからか、アイデアは出ない。


 シャワーを浴びて気分転換をする。ほんと、シャワーとか歯ブラシとか、トイレットペーパーとか、そこら辺がタダなのはありがたい。


 布団もくれたら良かったのにな。




 ……結局その日は誰も来なかった。悲しい。




 現在のポイント:96ポイント

 今日はパンを3つ食べた。明日も誰も来なければ、贅沢してしまおうかと思います!

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