第6話 ボス
カタログを見ると、階層を増やすのは5階層までなら1階層につき100ポイント。今2階層まであるわけだから、たった300ポイントで階層が3つ増える。しかも5階層を解放したらボス部屋が使えるようになる。
これは買うしかないな。そう思ったので思い切って、買ってしまった。
悪くない買い物だと思う。基本的にダンジョンというのは進むだけで大変なのだ。絶えず現れるモンスターと罠で精神を削られる。
アニメなんかの創作物だと簡単に攻略されているわけだが、どうなんだろうか。まだこの世界の平均的な力が分からないため、何とも言えない。
しかしあの兵士達の実力を見るにそう簡単に攻略されるとは思えない。あ、でもあの兵士達が正規兵とかじゃない可能性もあるか。
そう思い、兵士達の持ち物を確認する。ダンジョンに吸収されてしまう前に、回収しておいたのだ。ちなみに持ち主が死んだ状態で15分放置されるとダンジョンに吸収され、ポイントに変換される仕組みである。
無造作に散らばった、血のついたそれを「うへぇ」と思いながら漁った。
すると、幾らかの銀貨と思われるものの他に、何かしら印字された、恐らく兵士の身分証だろうプレートを発見した。読めないので内容は分からないが、4人とも似たようなものを持っているのでまず間違いない。
つまり彼らは兵士か、冒険者か。そんな感じの立ち位置に間違いない。
次に増やした3層の地形を見ていく。
まずは3階層。3階層は真ん中に長い一本道のある地形だった。しかもそれが次の階層への階段に繋がっている。
ダメじゃん。
しかし一本道にはいくつも横向きに通路がついており、そこから矢を放てば綺麗に決まりそうだった。
それにそこからゴブリンを向かわせて、足止めとか不意打ちもできそうだ。あれ? むしろ良いのでは?
これはあれだ。急がば回れって奴だ。
そういうコンセプトの階層にしよう。突っ切った方が早いのは確かだが、しかし横からモンスターや矢の妨害が無数にある。
通路も50mはあるからな。そう簡単にはいかないはずだ。
逆に迂回路を行けば、若干の迷路にはなっているが、行きやすいはずである。
まさしく、急がば回れ。急いては事を仕損じる、である。
次に4階層はというと、2階層と同じく割と普通の迷宮だが、しかし2階層よりも簡単な迷路だ。近道があり、割とすぐに階段に着きそうである。変に1本道じゃない分、こっちの方がやりづらい。
そこでおれは壁を設置し、道を塞ぎ、その奥に不意打ち用のゴブリンを設置。さらに何もないハズレの道にも壁を無数に設置することで、心理戦に持ち込むとともに、ポイントの節約を行なった。
壁がバレるなら増やせばいいじゃない、という発想である。
コンセプトは、木を隠すなら森の中。
壁の分トラップやモンスターは少ないが、結構めんどくさい階層になったと思う。
そして5階層は4分の1がボス部屋になっており、残りは少し雑草の多い普通の迷宮だった。草というのは中々カモフラージュに強く、トラップを隠しやすい。ありがたいことである。
さて、ボス部屋には何を置こうか。おれはカタログを眺めた。
ボス部屋の仕組みとしては、ボスとして設定したモンスターが倒されるまで、次に進めない。それだけである。
ボスモンスター自体は普通の一般モンスターを登録する形だ。
ボス部屋はただの大広間ではなく、いくつかの壊れない壁がある。
ちなみに全体で使えるポイント制限はその階層の2倍。ただ今回はポイントが少ない。
今残っているポイントは700ポイントほど。
そう考えると、強いモンスターは置けそうにない。一応500ポイントで、ゴブリン魔導士が置けるが、どうなんだろうか。
その分、罠を充実させた方が強そうな気がしなくもない。
いっそのこと700ポイントで壁に穴を開けまくり、その中にスライムを入れるか?
時間稼ぎ特化構築である。
でもボス部屋が攻略されたら終わりなわけで、スライムを隠すとこちらも攻撃の手段がなく、千日手である。
いつか攻略されることは間違いない。
500ポイントの魔導士より、耐久力のありそうなミニゴーレム(300ポイント)を置き、さらに入ってすぐの天井に、スライムを仕込み、さらに入ってすぐの床にバネ床を仕込む。
これでどうだ?
ミニゴーレムに目を取られた隙に、天井からスライム。
悪くないかもな。
うん。そうしよう。
でもバネ床とかは入り口じゃなくて、色んな場所に仕掛けた方が良いかもな。
ミニゴーレムとの戦闘中にバランスを崩させることができれば、中々強そうである。
おれは天才だ!!
現在のポイント:41ポイント
ポイントはすっからかん。寝袋もお預け。硬い床で寝転びながら、ふと思った。バネ床って寝心地良かったりするのだろうか……。
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