第5話 高級品
スライム矢の罠が見事にハマり、兵士達が全滅して、おれは2924ポイントという大金……いや、大ポイントをゲットした。
買いたいものが色々ある。生成器に寝袋に、ご飯に……階層を増やすのも良いかもしれない。
たださすがに食わないと死ぬ。腹ペコだ。
おれはビュッフェカレー(300ポイント)を頼んだ。…と言いたいところだが、さすがに300ポイントはきつい。パン5つ(25ポイント)とバター(5ポイント)、栄養バランスを考え、サラダ(50ポイント)を頼んだ。
こうなるとトースターが欲しいなあ、と思いつつ、貴重なバターを計画的につけてパンを食べ、サラダを食べる。
久しぶりの食事だ。もちろん美味い。サラダってこんな美味しかったっけ、と思うほどだ。
フォークなどの最低限の食器があるのは幸いだったな、と思いながら水(氷なし)を飲んだ。
しかし今回の兵士達、平均して500ポイントってところか。案内役の男達が大体300ポイントだったので、強いといえば強いが、弱いといえば弱い。
まあスライム矢の罠を突破されてたら終わりだったので、助かったのは確かだが、調査にこの程度の人材しかよこさないというのはどうなのだろうか。
脅威度を調査しに来たと言ってたよな……。
この世界の兵士達の質がその程度なのか、それともポイントの増減がまた別の計算で行われているのか。
…まあそれほどおれの罠が素晴らしかったということにしておくか。実際1階層は突破されたわけだし、2階層でもスライム矢の罠じゃなければ、バネ床を踏んだ兵士以外は仕留められていなかった可能性が高い。
特に今回、兵士の後ろからの矢の罠はかなりポイントをかけており、ダンジョンの壁を高いポイントを払って、掘削して埋め込み、分かりにくくしたものである。たった3つの設置なのに、100ポイントもかかった。
そう考えると今回はたまたま不意打ちが上手くいったのではなく、必然だったのかもな。
この世界には、こういうポイントを一気に注ぎ込んで、一気に仕留めるタイプのダンジョンは少ないのかもしれない。そう考えると納得がいく。魔物と罠を満遍なく設置したようなダンジョンなら、彼らの調査方法は正解だったわけだしな。
さて。腹ごしらえも済んだところで、ダンジョンを強化しなければならない。そろそろ眠い気もするが、まだ15時だ。
そういえば寝袋も買いたいな。いやいや。まだだ。
そんな風に眠気と闘いながらカタログを眺める。
やはりスライム生成器(1000ポイント)は決まりだな。
スライム矢の罠でめちゃくちゃ使うし、その有効性はつい先ほど実証されたばかりだ。ゴブリン生成器(2000ポイント)も捨てがたいが……いや、本当に捨てがたい。
どちらも10日で元が取れるわけだが。逆に言えば10日は赤字というわけである。いや、どうする? もう少し様子見た方が良いか?
その時ピコン、と調査書の提出装置から音が鳴った。
調査書の報酬:500ポイント
500かぁ。いや凄いんだけどね。500。
あの情報で500か。今は相場が分からないので何とも言えないが、…500かぁ。
仮にこのポイントが少ない方とすると、あの情報には価値があまりなかったということだ。つまり……うーん。まだ分からん。
内訳とか見たいなぁ。もしかしたら4つのうちひとつが500で、他は0ポイント判定の可能性もあるからな。
ちなみにその場合、500ポイントの価値がついたとおれが予想する推し情報は①の、『この世界ではダンジョンは一般的なものとして認識されている可能性が高く、このダンジョンの他にもダンジョンがある可能性が高い』という一節である。
④は論外として、②と③もそこそこ予想しやすいことだからな。
まあ、真相は闇の中。まだ分からない。
兎にも角にも、500ポイント入って、これで現在のポイントは3344ポイントだ。デリバリーピザも買えるポイントである。
よし。買っちゃうか。スライム生成器!
震える手で、間違いがないか何度も確認して、スライム生成器を買った。するとダンジョンマスター室にスライム生成器が現れる。
平べったい丸い台のようなものである。
1000ポイントという高級品だからか、そのステンレスのような素材と黒い肌触りの良い枠がとても良いものに見えた。しかしそれが置かれたことで部屋の中が少し手狭になった。
この部屋って広くできないんだろうか。そんなことを思いながら、早速生成器を起動すると、スライムが1匹、ぴょんぴょんと出てきた。
素晴らしい。
スライムにはとりあえず待機してもらうことにすると、おれの椅子の横にちょこんと控えた。
可愛い。
まるで犬みたいだ。ここに置いておくと愛着が湧いて、使えなくなりそうである。
早いところ使い道を決めないとな、と思いつつ、おれはカタログに目を落とした。
……可愛い。
現在のポイント:2344ポイント
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