第18話 幻想宴の終わり
・・・なんだ?光・・・?
レイラ??
・・・そんなわけないか
ジュリアンなの?
どういう意味だ?わけが分からない。
俺はジュリアンだが、お前は誰だ?
俺は今、意識が闇の中に・・・まさか・・・意識下の通信?
そう、私は文字司のレイラ。
あなたは私の手習いさんなの?
なるほど、レイラ・・・
俺の事情を聞いたのか?
こちらからの交流を仕掛けてみるのははじめてかもしれない。
ジュリアン、何があったの?
エルフの里に聞いてみても、詮索いたすな、って一点張り。
俺は故郷に帰って、父王に王族から抜けたいと言ったんだ。
きょうだいが腹違いのがいて・・・
俺は当然直系のエルフである弟が王位を継ぐものだと思っている。
そして、それを父王に言ったんだ。
そして父王も、その理由に感銘をしてそちらに戻るはず、だった・・・
なにがあったって言うの?
分からないんだ・・・
・・・?
どういうこと?
父王から王族を抜けることの許可をもらったあと、母をたずねようと気を抜いた。
出された飲み物の中に、強力な睡眠剤が入っていたらしい。
それから、
どれくらい時間が・・・
たったんだろう・・・??
まさか、飲み物を出したのは小背のひと?
そうだ。
どうして分かったんだ?
情景としてなんとなく見えてる。
そう言えばそんな能力が文字司だったか・・・
どれくらいの時間がたったんだ?
レイラ・・・?
二年よ。
私のことが嫌いになったか、里に恋人ができたのかと思っていた。
・・・はぁっ?
俺はお前との結婚を真剣に考えたから、王族を抜けたんだっ。
――
――――――・・・
ジュリアンが目覚めて、里は一安心したって連絡が来た。
騒動の一連、それはエルフに仕える別種族の者の所業だった。
「王位継承権を持っている者ならば効かない眠り薬」
ジュリアンはその無味無臭の薬が入った飲み物を口にして、倒れた。
本来なら「自分が王位につきたい」とごねるタイプに使う薬らしい。
そして何の因果か、ジュリアンは継承権を破棄したばかり。
つまり、継承権を持っていない者だと、その効能に判断されて、意識不明になった。
その不明になった意識を探して、私、レイラが通信を取ってみた。
命がけだったけど、通信に応じてくれたのは張本人だった。
それはとっても幸運なことだと神父様は言われたわ。
一世一代の賭けだったって。
真実の愛の成せるわざだって。
ジュリアンにお母様の言伝をしたのは、ジュリアンがお母様を連れて教会に来た時。
なんだか格好のつかない話だ、と、ぼやいていた。
意識が戻ってからもしばらく嘔吐なんかがあったらしいのに・・・
あの『かっこつけ』は、
それを秘密にしておくつもりだったらしい。
それは許せないと言ったら、「じゃあ俺と結婚しろ」って言われた。
レイラ十六歳、結婚可能時期突入。
そう言えばジュリアンがハーフエルフとして何歳なのかは聞いたけど、
出生経過年数は聞いていない。
彼って、本当は何歳なんだろう、って書き出してる今、部屋にお茶を運んで来た。
彼との結婚の準備がおおかた一段落して、文字司としての記念に書きまとめ。
協会の意向でファンタジーとして『物語屋』経由で出版することになったの。
使い魔のシャンクスも白猫ルナとの子供ができて、子育て奮闘中。
私は猫ではないけれど、子供ができたらあんな風に
ジュリアンが変わるのかな、ってちょっと思う。
・・・面白そう(笑)
色んなことがあったけど、ジュリアンとなら乗り越えられそう。
これをもって、文字司のレイラの記述を終わる。
[ 追記 ]
魔法の羽根ペン『ウィリー』の記述。
わし、重要なことを最後に書くって決めとってん。
わしにレイラに仕えるように魔法をかけたのは、レイラの母や。
あのひと、旦那さんにも秘密だったけど、魔法使いやねん。
それと、レイラは気づいてへんけど、もう、いはんねん。
お腹に。
レイラ、ジュリアンとの赤ん坊がお腹に宿ってんねん。
レイラ、なに、びっくりしとんねん!
おめでとう、やがな!!
なんやねん・・・感動で泣いてはる。
妊娠も子育てもむずかしい体質?
知らんかった・・・
レイラのことは皆が守ると思うねん。
大丈夫やて。
魔法の羽根ペンさん『ウィリー』が、最後にとんでもないほどこしをしたろ。
※この記述はファンタジーです。
魔法の羽根ペンより
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