第12話 ヤミテラス
天上人の芯間のひとつに
その摩訶不思議なる剣ありて男達、
火花散り、しのぎを削る手習いをしている頃合い
いっぽうで、
見渡す限りの花が浮く水面に
麗しい指先がその温もりを確かめるように波紋を成し
その陽光のうららかに
指先は更に遊ぶ
花房の見頃に
香り楽しむその姿に微笑むと
そのつややかな長い髪に気まぐれた花弁を、
指先でつまんで
しめして見せた
雨粒は
雨宮の屋根で弾けて奏を届け
その耳傾けるに
片肘でもたれる伏し目がちに
その唇を突然に奪うような口づけに
意識が弾けたような瞬きで起床
学び舎への道で奇襲、
血の染みた地面はまるで赤く
白いはずの雲と青空の動きを映した
婆が作る焼き菓子の
面影を見るその味に夢を見た年端
秘密の花園と言う言葉がねじれた世界で甘い想い
ひずんでとろけそうな時計に、なんじを見るのか
まどろんでいるのは、はたして
どちらか
背中には昔、羽根があったといっせつに
でしたらなにゆえなくなったのかと当然に
すると謎であると、
当たり前
車が空を駆ける夢のような非合理に
なぜに地面を歩くに至るか問うと、
覚えはないが
それである道を選んだらしい
一番星を探す雲間の夜に
月は明らかであると都に照っている
その月に見た運命の相手との約束
それを見据えた芯間闘技場
勝ち得たものだけが持つ特典に
水辺で指先を遊ばせた
新たな命芽吹く女人の腹が
あれよあれよと言う間にふくらんで
生まれた子供は言の葉に乗って、
下界へと流水が運び、
純潔のその母は
勾玉を持たされる代わりに我が子を忘れた
この話を届けるヒグラシの歌が
かすれ聞こえるはずの幻想か
玉枝のはゆる風向きは濃く
それゆえに
味までしそうな気がするのだろうに
そうぜんとした爽やかな酷
吐息と呼吸に格差あって
水玉は宙で弾力のある舞をする
灼熱と極寒の輝きに畏れいずる時
あの子は指輪をはめた手で
暗闇に観た幻想の欠片を書き留める
あの子はきっと指輪をはめた手で
幻想の欠片を
書き留める
――
―――――・・・
見る夢は暗闇ばかりで、それを思い出したら幻想の欠片が刺さってた。
それは手の中で花弁に変じて、甘いような香りを残してどこかに消えた。
匿名希望だ。
この話の題名は、「月明り」みたいなのがいい。
一緒に考えてくれ。
太陽も好きだが、どうも月に関係している気がしているのに題名が思いつかない。
しっくりこないんだ。
レイラ:月明りでいいんじゃないの?
・・・分からない、しっくりこない。
レイラ:じゃあ、「闇を照らす」。
闇照?最高だ!この話を「ヤミテラス」って題名にしてくれ。
レイラ:なんだか兄やみたいな喋り方・・・気のせい?
気のせいだ、秘密だ。
代筆ありがとう。
この記述はレイラと魔法の羽根ペンが代筆記述したことをここに記す。
―――――
――
きっと君は、将来指輪をもらうんだ。
運命の相手からね。
――
―――――
今、フラッシュを焚かれたみたいに幻が見えた。
綺麗な手のひとの左手薬指に、指輪がしてあった。
誰だろう・・・?
羽根ペン『ウィリー』が言おう。
きっと、レイラのことだ。
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