川越耕二(コージ)は大学生の時、友人とともに自主映画を作っていた。そんなコージは平成十年、刑務所を仮出所する……。作中では昭和と平成を行ったり来たりしながら、コージの身に何が起きたのかが少しずつ明らかになっていく。夢に向かってひた走り、素敵な出会いがあり、そして悲劇が起こる。昭和と平成の音楽や文化の描写も、作品を見事に彩っている。その時代を過ごした人には懐かしく、知らない人にも新鮮に思えて楽しめるはず。切なくも心に残る、ほろ苦い青春の物語。ぜひお楽しみください。
映画が題材となっている作品ですが、読んでいると本当に映画を見ているような錯覚に陥ります。直子とコージ、愛し合う二人に待ち受ける運命とは。何が正義で、何が悪なのか。読んでいて何度もやるせない気持ちになりましたが、一筋の希望が差し込むような結末に胸を打たれました。
優しさと痛み、希望と喪失が同居するような、深く切ない物語。昭和から平成へと続く時代の背景を感じられるのも、この作品の大きな魅力のひとつです。静かに胸の奥に沁みて、長く余韻が残ります。
人を殺め服役し、仮釈放となった主人公が淡々と語るその姿が独居房で独り、犯した罪と向き合っている様な姿を想像させます。昭和、平成初期の時代の空気感も感じられ、読むとその時代にタイムスリップしたかのような感覚になる素晴らしい作品です!!若い世代の人も当時を知る世代の人も楽しめる作品だと思います!!