第27話:月下の激闘、漆黒の槍と閃光の矢。
月明かりが鈍く、重い雲の
平野の地上が闇に覆われる中、ティアは全身に張り詰めたような緊張感を交え、剣を構えていた。
視線の先、静かに立ちはだかるのは、漆黒の装束を
手には月光を反射し、冷たく光る
流れる雲が空を一瞬、大きく顕にし、
その刹那―――。
ダークエルフの姿が、残像を残して消えた。
瞬間、ティアの耳元を風が切り裂く。
槍が、想像を絶する速度でティアの喉元を狙って突き出されたのだ。
「っ…!」
ティアは、その異様な速度に焦りながらも、
金属が擦れる耳障りな音が、闇夜に響き渡る。
剣と槍の激しい撃ち合い。
だが、槍の長いリーチは、ティアには圧倒的に不利だった。
「くっ…!」
一撃ごとに押し込まれ、体勢を崩しかける。
ティアは咄嗟に距離を取り、後方へ大きく跳躍した。
(接近戦は
彼女は即座に剣を収め、弓を形成する魔法を発動する。
光の粒子が瞬く間に集束し、半透明の弓と、輝く光の矢を生み出した。
ティアが弦を引き絞る。
キン、と冴えた音を立てて放たれた光の矢が、夜の闇を裂き、ダークエルフへと一直線に飛ぶ。
だが、ダークエルフは涼しい顔でその矢を横に払い、避けきると、静かに槍を構え直した。
その瞳がカッと大きく見開かれ、周囲に六本の魔法で形成された槍が、漆黒の輝きを放ちながら生成される。
「…ッ!」
ダークエルフは凄まじい気迫と共に、手にした槍を勢いよくティアに向かって突き出した。
同時に、周囲にあった六本の魔法の槍も、まるで意思を持つかのように一斉にティアを襲う。
ティアは再び剣に切り替え、迫りくる槍の嵐に応戦するが、一槍だけが彼女の防御をすり抜け、右肩を抉った。
「あ、ぐッ…!」
血が
ダークエルフはその一瞬の隙を見逃さなかった。
まるで影が伸びるかのように一気に距離を詰め、ティアに更なる追撃を仕掛けようとする。
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