第2話 初めまして⁈の出会い
高級会員制コンカフェ『Diana Drop』で体験入店をすることになった葵。
緊張しながらも、リボン付きワンピースに身を包むと、葵の姿はアニメから出てきた少女のようだった。
ブラコン妹になりきるようイメージしながらマニュアルを読む。
「お兄ちゃん、やっと会えたね!」「○○は、ずっとお兄ちゃんのこと思ってたんだから」等の言葉の羅列にゾッとした。
これ…恋愛経験のための修行にならなさそう…と肩を落とした。
事前にオーナーの晶子から「今日のお客様はね、五条仁さん。いつも指名していた莉央ちゃんが辞めてしまったから、イメージが似ている葵ちゃんがいいかなって思ったの」葵は緊張した面持ちで頷いた。
指定されたテーブルに着き、教えられた挨拶をする。
「初めまして!お兄ちゃん、やっと会えたね!葵、待ってたんだゾ!」と猫のようなポーズを取り顔が真っ赤になり震えながら挨拶したが、内心早く帰りたかった。
「合法ロリキター!!葵タン、オニイタマも会いたかったぜ!」と彼は低い声で挨拶した。
「いや、マジで…理想の妹だ! 葵タン、めっちゃかわいい!」彼の息は荒く、葵の手をそっと握った。ほのかに漂うウッディな香水の匂いに、葵の心臓はさらにドキドキした。
薄暗い照明から見える顔に見覚えがある。
常連さん⁈え⁈心臓の鼓動が速くなり手に汗が滲む…名前も知らず、挨拶程度の言葉を交わしていた彼が、ここでは全く違う姿を見せていた。普段の目つき鋭いクールな彼が笑顔ではしゃいでいる。
葵は、ここは異界…自分は転移者で妹になったのだと妄想すると親近感が湧き、面白くなってきた。
ただし――
彼は葵の正体に気づいていない。
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