川崎市立 中原図書館 の掟(実話)
@ft2e
第1話 中原図書館のある街 武蔵小杉
中原図書館は 東急線 武蔵小杉駅、駅直結のタワマン内にある。
この街のタワマンの数は現在12本。
他に現在、2本が建築中、計画段階が1本、
合計15本となる予定である。
建築中の2本は隈研吾氏デザインのツインタワー。価格はおひとり様用1億からファミリー用1億8千万。
中古タワマンは?ファミリー用なら中古でも1億円以上。不動産バブルって怖いですね。
価格上昇は付近の低層マンションにも波及。例えば駅徒歩10分圏内の5階建も、新築は1億円前後。中古でも最低7千万だ。
かつては工場地帯、そして、お世辞にもキレイとは言えない場末の飲み屋街だった。それが今や、高所得層が多く住む街へと変貌してしまったのである。
タワマン建設に伴う急激な人口増加により、公立小学校「小杉小」が新設された。現在、学年あたり、児童数は約150。5クラスずつだ。
しかし公立「中学校」の新設はない。なぜなら、この街では1/3から半数が私立・国立中へ進学するためだ。これは大学受験を意識してのことである。特に私立中高一貫校が、どれだけ大学受験に関して有利かは、論を待たない。
そんな教育意識も高い街にある図書館には、周辺の駅からも含め、受験生のみならず、大学生や社会人など多くの人が集まってくる。目的はただ一点──自習席を確保するためだ。東横線特急停車駅。立地の良さも人を呼び寄せる。
なぜ図書館に来て勉強する? なぜ自宅で勉強しない? それは気持ちを切り替えるため。緊迫した雰囲気で勉強する気を奮い起こさせるため。
そして、同じ目的持つ者たちが限られた自習席─┬図書館での名称は閲覧席──を確保するという、争奪戦が繰り広げられる。次話、夏休みのある土曜日、朝の様子を見ていく。
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