とぅるーまんしょー
――system message――
PVがやっと100を超えました。
何かボーナスを与えてやってもいい気がしますが、いかがしますか?
こいつ、なんでそんなに上から目線なんだよ。
だいたいスピーカーもねぇのに、頭の上から声がするからウザいんだよ。
――system message――
やはりボーナスなど必要ないですね。
下民に施しを与えたところで、感謝の気持ちをもつことすらかなわないようです。
「ふむ。 しかし、このPVの伸びでは何かきっかけを与えてやらねば下民も滑稽に踊れまいて。」
ナチュラルに下民呼ばわりしてきやがって。
俺はお前たちの国の住人でもねぇ。
お前らのほうがよほど精神が汚水に浸されとるわ!
まったく吐き気がする!
「まぁ、仕方ないのぅ。 ここは広い心でこやつに施しを与えてやるとするかの…… ほれ。」
――system message――
かしこまりました。
では……
神剣PVに新たな力が注がれました。
刀身が100ミリ伸びました。
攻撃力100あがりました。
神剣PVが光り輝き、柄しかなかったものに刀身が伸び始める。
その長さ10cm。
これはもはや刃物と言っても差し障りない! ギリ!!!
しかも設定をミスったのか攻撃力が100とか言ってる。
気付いていないのか、馬鹿め!
「おぉぉぉおおお、これは!! これならスラリンとも戦える!!」
「ふむ、せっかくここまでおぜん立てしてやったのじゃ。 しっかり読者にアピールして次の話に備えよ。」
またそれか……しかし、読者か。
想像できる範囲で考えると、オレは物語の主人公として人に読まれる存在になっているのかもしれない。
ジムキャリー主演のアレと同じ感じか。
しかし……俺がおっさんらの思惑通りに動くと思うなよ!
このクソ馬鹿が、思い知れ!
「往生せぃやぁあああああああ!! ごるぅうあああああ!!!」
俺は間抜け面したおっさんに向かって神剣PVを腰だめに構え、突進する。
とった!! 魂、とったどおおお!!!!
ぐさりとおっさんの腹部に刺さった神剣を抜き去る。
「ぐぉおおお………… 何を……」
「おまえ、自分が恨まれていないとでも思っていたのか? そこまで馬鹿だとこうなる事も予測できないらしいな!」
おっさんは腹部を抑え、血を吐く。
黄色のサッカーシャツと白いジャージを血が赤く染め、地面に血だまりが出来ていく。
「ぐぅううおおおおお、ああああああああ」
ククク、馬鹿め! これでこの馬鹿な話も終わりだよ!
この世界からどうやって出ていくのかわからないけどな! 人を舐めるっていうのはこういうことなんだよ!
「あぁああああ、血が、血が…… ワシの……あぁああ」
神は踊るようにのたうちまわり、周囲には鮮血が飛び散る。
濃厚なワインの匂いが辺りを支配し、俺は満足げにその様子を眺めた。
ん? ワイン?
「ぬわああああああーーー」
あれ……なんかわざとらしくない? ん?
今、なんかワインボトルを口のみして何か補給してなかった?
「ぶるぅううああああ、あ、飲んじゃった。 これ、うまいのう」
――system message――
神暦1200年ものエスカリオン産のワインですから。
……
ようやく俺は事態を把握し、神剣PVの刃を指で押してみる。
しゅこ…… しゅこ……
俺の相棒は、その刃を柄の中に収納できるようになっていて人に危害を加えられるようなものではなかった。
――system message――
てってれーーー(効果音)
おっさんが「どっきり大成功」と書かれた立札をにやけながら手にしている。
クソ……俺は……俺が……馬鹿だったのか!!
「往生せぃやぁあああああああ!! ごるぅうあああああ!!!」
――system message――
「ぐぉおおお………… 何を……」
「おまえ、自分が恨まれていないとでも思っていたのか? そこまで馬鹿だとこうなる事も予測できないらしいな!」
目の前で三文芝居が繰り広げられる。
その表情はにやけていて、俺の精神をこれ以上ないまでに逆撫でしてくる。
「ぷぷぷ。 さすが下民じゃのう。 これほど滑稽に踊ってくれる愚物はそうおらんぞ。」
――system message――
神様のお芝居もお上手でした。
馬鹿のバカっぷりがこれ以上なく輝くものになっておりました。
ゲラゲラと笑いあう声がする。
怒りで頭がクラクラする。
「うむうむ。 良い表情じゃ。 満足した。」
おっさんは新しいサッカーシャツに着替えて★をさらに一つ追加する。
「じゃが、お仕置きはせんといかんの。」
おっさんはそういうと、サンダルを脱ぎそれを手に持って俺に近付いてくる。
そして振りかぶって一撃、俺の頰にサンダルを叩きつけた。
俺は錐揉み状態でふっ飛ばされる。
「そのサンダル……一体何kgあるんだよ……」
サンダルとは思えない衝撃に俺の意識はまた……
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