リメイク ーre′makeー

桐木 信也

序章 リメイク

あの悪夢の様な日々から数日が経った。

それは、全てがアイツ等に創られていた物語だった。

何もかも、最初から仕組まれていて…

あの時の選択肢が正しかったのか、間違っていたのかさえ、今となっては解らない。

枝分かれした幾つもの選択肢の中、結局は自分で選んだ答えだったから、後悔はしていない。

していない筈なのに、本当に「これで良かったのか?」と、自問自答を繰り返す。

他に、アイツを救える方法はあったんじゃないかとさえ考えてしまう。

でも、もう今更そんな事を考えた所で何も変わらない。

俺が駄目になりそうな時、いつも背中を押してくれた。

俺が迷っている時、いつも背中を押してくれた。

俺が…

いつだって、アイツが見守っていてくれて、俺を支えてくれていた。

それは今も変わらない。

いや、少し変わったのかも知れない。

俺達が出会った職場は、今も変わらず運営を行っているが、そこに俺達は居ない。

あそこには居る事は出来ない。

嫌でも思い出したくないあの日の事を思い出してしまうから…


ふと、部屋の掛け時計を見ると14時半になろうとしていた。

テーブルの上に置いてあるメモを確認する。

『15時、駅西口』と、メモには書いてある。

「遅れたらうるさいから、少し早いけどもう出るか」そっと呟いた。

階段を下りて玄関に向かうと、母親の声が聞こえて来た。

「明人、あんたまだ怪我が治ってないんだから早く治して店の手伝いしておくれ」

俺は、母親の声に返事をして玄関を開けると、視界に入って来たのはどこまでも続く夏の青空だった…



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