第3話普通の少女桜子、登校して死にかける。
あっという間に時はすぎ、、、
今日は入学式当日です。
「ぐあっ、ふっ、くぅー、ふぅ。」
目覚ましの音で目を覚まし、重い体を起こす。
昨日シンクが用意してくれた目覚ましからは、「眠れない!眠れ!寝ろ!」という悪趣味な曲が流れている。
眠い。
とても眠い。
て、いうか、この曲、激しいのに歌詞がさ〜本当何これ。
逆に眠くなくなる、、、のか?
わかんないや。
こんな時は陽の光でもみて、目をパチッと覚ますか。
よいしょっと。
うん。
太陽どこいったの?
え?
今、夜?!
爽やかさのさの字もないんだけど、、、
時計を急いで確認してみるが、ちゃんと、午前7時。
嘘でしょ、、、
絶望すると同時にここは地球とは違う魔球というとこだったのを思い出す。
「太陽ないのかな、、、」
バーン!
「おはよー!ございまーす!」
勢いよくドアを開けてシンクが元気よく入ってきた。
あの扉、いつか、壊れるんじゃない?
「おはよう。シンク。」
朝からどっと疲れてしまったので挨拶も元気がなくなってしまった。
「どうだった〜?目覚まし!私のおすすめなの〜!」
「いや、本当これ何?まぁ、起きれたけど、、、」
うん。変な曲だけど、そのおかげですぐに起きれた、、、かも。
「そうでしょ〜!よかったの〜!さくちゃんが起きれて!大切な入学式の日に寝坊したら縁起悪いもんね!」
そうだった。今日は入学式だった。
あの日、魔戦士育成学園に行くと(脅されて←ここ重要!)決めた日から、今日まで、私は何をしていたかというと。
特に何もなく、のんびりしていました。
いや、本当に何にもなかった、、、
起きて食べて寝てってしてたら入学式当日になってしまった、、、
いや、なんとなくこのままでいいのかなって気がしてたんだよ?
だって、魔法の使い方とか、いろいろわかんないし。
でも、でも、、、
ここでの生活が楽しすぎて、、、
イケメンや、美女がいる生活はめっちゃ心臓に悪いけど中々楽しかったなぁ。
あらかじめ用意してもらっていた、制服に着替えて鏡をみる。
うん。いい感じ。制服もかわいいし。
「さくちゃん、かわいい〜♡」
そんなことを言っているシンクの方は流石の顔で制服が、モデル並みに似合っている。
「シンクも似合ってるよ。」
「ありがとう!さくちゃんが言ってくれたら、特別嬉しいの〜!」
シンクはあいかわらず美人だけど可愛い。
「さくちゃん!髪、結んであげるね。」
「ありがとう。」
私のものすごい長い髪が高速で三つ編みにされていく。
「でーきた!うん。さらによくなったね!」
小学校では、結んでなかったからなんか、むずむずする。
でも、楽かも。うん。いいね。
「さくちゃん、実はね。朝ごはん食べよって、言いにきたの〜!」
「それを先に言って!」
よし。朝ごはん食べるか。
知らないとこでの入学式だし、朝ごはんは食べとかないと。元気でないし。
もうすでに壊れかけの扉を開け、リビングに向かう。
もうここにきて、三週間は、たってるからね。なれたもんよ。
もうすっかり私の場所となった、テーブルの右端に座る。
すると、朝ごはんを作ってくれたベニが、得意げにやってきた。
「おはよ。今日の朝ごはんは自信作だぜ!」
意外と、この中で料理が一番うまいのがベニだったりする。
初めて作ってくれた時はめっちゃびっくりしたなぁ。ここにきてから一番驚いたことかも。
「おはようございます。桜子さん。昨日はよく眠れましたか?」
にこやかな笑みを浮かべながらアカネが朝ごはんを持ってきてくれた。
おお。確かに美味しそう。今日は豪華だな。入学式だもんな。さすがだぜ、ベニ!
「おはよう。ベニ、アカネ。うん。よく寝れたよ。」
「相変わらず、表情がぴくりともしねぇなぁ。今日は入学式だぞ。緊張しねぇのか?」
「えぇ?そんなに私の表情動いてない?これでも、だいぶ緊張してるんだけど。」
まぁ、ここにきてから私の表情は一度しか動いてないんだけど。
ほんと、いつになったら私の表情は動くのかなぁ。
あ、朝ごはん、おいし。
「ベニ、美味しいよ。なんだか、力がみなぎってくる。」
これも、ベニが一生懸命作ってくれるおかげだね。
「だろ?!今日は大切な日だからな。力が出てくる魔法をかけたんだ!」
全然ちがった、、、
気持ちとかの問題じゃないんかい。普通に魔法だった。まぁ、魔法は普通じゃないけど。
「たのしみだなぁ!楽しい授業!楽しい行事!面白い先生!面白い生徒!ワクワクがいっぱいなのー!しかも、なにより、この四人で、行けるなんて!」
「それなんだけど、やっぱり、私が通っても大丈夫なの?いや、今更って感じなんだけどさぁ。この三週間、みんなとの生活が楽しすぎて忘れちゃってて、、、」
私は人間だ。当然、魔法は使えないし、常識とかも、こことは違う。何もかもが違うんだ。そんな私が今更だけど、通っていいのか、不安が、襲ってくる。
そんな私とは反対に三人は実にあっけらかんと笑った。
「大丈夫です。なんてったって、僕たちがついているんですから。」
「そうだよ〜!学園長には、話をしているし、クラスも一緒にしてもらったから。」
「大丈夫だろ。俺たち四人なら。」
そうだよね。大丈夫か、三人がいれば。私の杞憂だったわ。
て、いうか、そんなに緊張することないよね。うん。緊張するだけ疲れるし。気楽に行こう。
「僕たちのクラスは特別クラスだからね。他の星の留学生を集めたクラスなので桜子さんより変な人ばっかりだから大丈夫でしょう。」
ん?え、今大事なことを言いませんでした?
まさか、私は地球代表とかいうことじゃないよな、、、
「そろそろ、いこうよー!魔法戦士は常に10分前行動だよっ!」
まあ、違うか。そんなことないよな。だって、私は普通だし。
うんうん。と、無理やり自分を納得させた。
「シンク、、、あなた、早く行きたい時だけそう言って、、、嫌な時は全然そんなこと言わないじゃないですか!いいですか!そもそも魔法戦士とは!」
と、アカネの魔法戦士解説が始まろうとしたところでちょうどよく昨日セットした学校に行く時間の目覚ましがなった。
目覚ましからは「行かないで〜お願い〜行きたくない〜」とこれまた変な曲が流れている。
だから、なんで、その人のやる気を削ぐような歌詞なんだ。絶対、シンクが曲を設定したでしょ、、、
「よし、そろそろ行くか。アカネ、シンク、桜子。行くぞ。準備できたか?」
あらかじめ、ここにきた初日に準備しといた鞄を急いで取ってくる。
「準備オッケー!」
「僕も大丈夫です。」
「私も。」
よし、もう、覚悟を決めていくしかない。
「そういえば、ここからどうやっていくの?」
この、相変わらず真っ暗で不気味な森から、学校に行けるとは思えない。
「ん?ああ。走っていくんだよ。」
「え?」
今、とても嫌なことを言った気が、、、
私が呆然としている間にもアカネとベニは準備運動を着々と進めている。
と、その時後ろでバサァという音がした。
振り向くとシンクの背中に羽が出ていた。
「うそでしょ、、、」
「よし!いっくぞー!」
す、凄い勢いで飛んでった、、、
「ベニ、アカネ、シンク先行っちゃった。」
「まあ、あいつは一番遅いからな。」
え?あれで遅い?
「すぐ追いつくので大丈夫でしょう。」
ま、まじか。て、いうか私はどうやっていけばいいのでしょうか。
「よし、いくか。」
ベニが最も簡単に私を持ち上げ、小脇に抱えた。
え、え、まさか。
「行きましょうか。」
その瞬間。私は走馬灯を見たのでした。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます