第2話普通の少女桜子、地球に帰れなくなる。
「で、どういうこと?ここはどこなの?」
すごく怖い顔を作ってすごんでみた。
といっても、表情筋は1ミリも動いていないんだけど。
「ここは魔球と呼ばれる星で、地球とは全く別の位置にある所です。桜子さんはここの魔戦士育成学園という学校に通ってもらいます。」
「ちょっとまって。一旦考えさせて。」
ぽくぽくぽくちーん
「まったく、わからん!」
戸惑う私に落ち着いた表情の3人がゆっくりと説明する。
「今まで騙しててごめんなさい。私達はこの魔球で、魔法戦士をしているの〜!」
「魔法戦士?」
聞きなれない単語に思わず聞き返す。
「この魔球には、いろんな敵がたくさんいたり、来るんだよ。そんな敵からここに住む市民たちを守ったり助ける。それが、魔法戦士だ。地球のアニメとかいうやつであるだろ。」
「いや、あるけど。」
あー、あんな感じかぁ。
たしかにちょっとみたことあるかも。
あれって、実在したんだ。
「いやでも、なんでそれと私が関係あるの?」
「ぼくたちは赤色魔戦士っていうグループ名で活動してるんだけどね。前にとても強い敵と戦って僕たちの命が危なくなったんだ。」
「え?!」
心配で思わず声が出た。
「ふふっ。もう大丈夫なの〜。だから、こっちに帰ってきたの〜!」
「命が危なくなった僕たちは一旦、地球に身を潜めることにしたんだ。猫に変身してね。」
だから、猫の姿だったんだな。
思えば、最初からおかしかった気がする。
三匹の名前はなんとなくわかったし、ずっと、三匹が私の世話をしてくれてたから。
ん?そういえば、、、
「私の存在感がなくなったのも3人が現れてからだよね?それも関係してるの?」
そう言うと三人は、首を横に振った。
「それは、俺たちは関係ないな。生まれつきだろ。」
「そうか。なんだ〜関係ないか。」
まぁ、三人がそういうならそうだよね。
なんで、こんなに、存在感がないんだろ。
しょーがないとおもうことにしよう。
「さっき言ってた魔戦士育成学園?ってなに?」
私は今の話を聞いて気になったことを言ってみた。
「お前には俺たちと一緒に魔法戦士になってもらう!」
ベニが、興奮したように高らかに言った。
「は?」
「ベニ!このおばか!話が飛びすぎです!」
「なんだと!俺はバカじゃねー!」
え?喧嘩してる?
大丈夫かなぁ。
「あのバカたちはほっとこ?」
バカって、、、
ベニとアカネがやいのやいのとけんかしているところを横目で見ながらシンクが答えてくれた。
「さくちゃんは私たちの四人目のメンバーになってもらいたいの!」
「え?!四人目の?なんで?」
「実はその強い敵がまた、復活するかもしれないんだよ!だから、私たちは四人目のメンバーを探してた。その四人目のメンバーにさくちゃんが選ばれたってわけ。」
「でも、私、人間で魔法なんて、使えないよ!それに、いきなり魔法戦士になってって言われても、、、」
「そう!そこで魔戦士育成学園!そこでは、魔法の使い方や、学問を学べる!6年制だから、時間もある!すぐに決めないでもいいの。私たちと一緒に学びながら考えて欲しいの!」
そこでふと、一つの疑問ができた。
「シンクとベニとアカネも、一緒に行くの?みんなは、もう、魔法戦士なんでしょ?学ぶことがないんじゃないの?」
そう聞くと、三人はうれしそうに笑った。
「それがね、僕たちは戦闘はできるけど、学ぶことが一度もなかったから桜子さんとおんなじなんだ。」
「そうなの!だから、とっても楽しみなのー!」
「俺は別にいいんだけどな、けど、今の魔法がどんなのかも気になるし。」
「もー素直じゃないんだ、か、ら!」
「うるせぇ!」
今度はシンクと喧嘩をし始めるベニ。
この三人、猫の時とかわらないな、、、
あっ、まぁ、そりゃそうか、、、
「ちなみに、桜子さんと僕たちの年齢は変わらないから、全然大丈夫だよ!」
「ええ?!ほんと?!みんなも12歳なの?」
こんな、美人な12歳いるかぁ?
「そうなの〜!私達は成長が特別遅いからねっ!」
「そうだね。僕たちはあまり年齢とか気にしないしね。」
でも、なぁ。三人とはずっと一緒にいたけど、人間の姿だとほぼほぼ初対面だし。いきなり通えって言われてもなぁ。うーん。でも、三人がとっても一緒に通う気満々だし。どうしようかなぁ。
「って、言ってもまぁ。拒否権はないんだけどな。」
「え?」
「実は、、、」
え?え?
「もう、入学試験は合格しました!入学する準備はできています!」
まじか!
「そして、そして!残念ながら、もう、地球には帰れないの!」
「なんで?!」
「お、ちょっと、ビックリしてるね。実はね。この魔球と地球はとても離れていて、一回わたるだけでも、とてつもない魔力を使うんだ。そして、今回わたったので、そこのゲートに溜めていた魔力が0に戻ったんだ。」
と言って、ただの物置を指さした。
物置の前までいき、扉を開けてみようとするが、どれだけ引っ張ってもびくともしない。
「本当に開かない。」
「無駄なの。その扉は私たちがさくちゃんと会ってからずっと戦いで残り少ない魔力を込め続けたの。もう、魔力は戻ったから、私たち三人の魔力を全て注げば扉は使えるようになるけど、、、」
「じゃあ!」
「でも、だからこそ、私はさくちゃんに聞くの。あなたは戻りたいの?」
そう聞かれてドキッとした。今の話を聞いて、私は地球に戻れない理由を聞いた。地球に帰してとは思わなかった。しかも、今はいつもとは違う非日常に胸がドキドキしている。「無駄な6年だったなぁ。」そう言ったことを思い出す。
「私、やってみたい。入学する。」
「そう言ってくれると思ったよ。まぁ、ちょっと脅したってのもあるんだけど。でも、桜子さんの笑顔が見れたのは嬉しいですね。」
「あ、笑顔作れた!?」
「また、戻ったけどな。」
私の鋼鉄の表情が一瞬でも、溶けた!嬉しい。
よし。覚悟決めるか。
「これからよろしくね。」
「おう!よろしくな。」
「楽しみだね!」
「楽しくなりそうです。」
三人とひとしきり喜びあったあと、、、
「桜子さんはぜったい、通わないと思ってました。」
「え?なんで?」
「だってなぁ、、、」
「ねぇ、、、」
「え?え?どういうこと?」
「だって、桜子さん、よく、僕たちに言ってたじゃないですか。」
ん?なんかあったっけ?、、、あ。
「私は普通がいいんだって。」
「あー!そうだった!これって!普通じゃない!」
私の夢が、もう、壊れたぁ!
「あのー。これってキャンセルって、、、」
「できません!」「できねぇよ!」「できないの!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます